家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
厭離穢土欣求浄土――徳川家康の旗印に刻まれた宿題
家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか(5)ブレーン集団と死生観
小和田哲男(静岡大学名誉教授/文学博士)
徳川家康が戦国最後の覇者となったのは、またどんなことからも吸収し、誰からでも学ぶ姿勢が大きかったからかもしれない。家康の周囲には常にブレーン集団が存在し、知恵を寄せ合った。家康の死生観は「名を惜しむ」という当時の武士らしいものだったが、危難のたびに周囲から救いの手が差し伸べられる強運の持ち主でもあった。(全5話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分23秒
収録日:2022年10月3日
追加日:2023年1月29日
≪全文≫

●多くの「ブレーン」を抱えていた徳川家康の「人を見る目」


―― 前回、本多正信の話が出ましたが、徳川家康は非常にたくさんブレーンを抱えて、ブレーンを使うのがうまかったというイメージがあります。家康とブレーンの関係はドラマなどにも描かれることが多く、織田信長が家臣と相談しているシーンは印象がないのですが、家康には正信などと一緒にお茶でも飲みながらしゃべっているようなイメージが強い気がします。実像としては、ブレーンとはどういう関係性だったのでしょうか。

小和田 最初の頃は武功派武将といって、酒井忠次をはじめとする「徳川四天王」がいました。榊原康政、本多忠勝、井伊直政と忠次の4人がブレーンという形で、いわゆる武功派武将が最初のうちはブレーンとして活躍しました。

 後にある程度戦いがなくなり、内政重視になってくると、正信や、その子の本多正純など、いわゆる「知恵袋」と呼ばれる相談役がいて、彼らとの相談の上で領国経営をうまくやっていったという側面があります。さらに晩年、将軍職を秀忠に譲った後、大御所として駿府に来た時には、学者、宗教者が中心になります。例の有名な林羅山、南光坊天海、金地院崇伝といった人を相談役のような形でブレーンに抱えていきました。

 私は、懐の深さが家康のすごいところだと思っています。一つには、有名なウィリアム・アダムス(三浦按針)のような外国人まで相談役にしています。あるいは、有名な茶屋四郎次郎という京都の豪商なども相談役に招いています。結構な人から多彩な意見を聞きたい、あるいはそういう聞く耳を持っていた家康だからこそ、あれだけの政権づくりができたという印象があります。

―― 家康の「人を見る」目として印象的なお話はありますか。人を選ばないということになってくると、どういうところでピンと来て登用することになるのですか。

小和田 これも一つのエピソードを話しましょう。もう将軍職を譲った後の話です。江戸で秀忠将軍を中心に政治が行われるのですが、ある時、一つの役職に空きが出た。秀忠と周りの重臣たちでいろいろ相談したが、いい人材が思い浮かばない。

 その時、秀忠付きの家臣だった土井利勝という、後に老中になる人が、「ここは一つ、駿府の家康様の意見を伺ってきましょうか」と言った。秀忠が「おお、そうしてくれ」と言うので、利勝は江戸から駿府に来て、家康に...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰(1)父祖の遺風
なぜ「父祖の遺風」がローマと江戸に共通する価値観なのか
本村凌二
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
斎藤成也

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(3)ビル・ゲイツの世界戦略
「50億人を救う」と宣言したゲイツとの粋なエピソード
島田晴雄
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(2)図書館「レファレンス」の活用
図書館の便利な活用法…全国の図書館からの「お取り寄せ」
中村彰彦
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
徳と仏教の人生論(3)無分別知と全人格的思惟
般若とは何か――秋月龍珉からの命題を探求し到達した境地
田口佳史
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦