家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
三河一向一揆と三方ヶ原の戦い、徳川家康最大の試練の真相
家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか(3)三河一向一揆と三方ヶ原の戦いの教訓
小和田哲男(静岡大学名誉教授/文学博士)
今川氏が滅び、「人質」から解放されて独立した若き徳川家康は、2つの大きな試練に直面する。1つは西三河で起こった三河一向一揆、もう1つは武田信玄を相手にした三方ヶ原の戦いである。戦国大名として天下盗りを進めていく上で立ちはだかった苦難、敗戦を通して、家康が得た教訓とは何だったのか。(全5話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分20秒
収録日:2022年10月3日
追加日:2023年1月15日
≪全文≫

●三河一向一揆の試練と教訓


―― 次に、(徳川家康が)独立した直後ぐらいのお話をお聞きしたいと思います。よく知られているように、桶狭間の戦いがあって今川義元が討ち取られてしまいました。その後、岡崎に帰って独立していくということになると思いますが、比較的近い時期に、例えば三河で一向一揆が起こったりします。

 独立したと思ったら、いきなり各大名が苦しんでいる一向一揆に見舞われるようなことも含めて、かなり大変な局面だったろうと思います。三河という土地柄の持つ特徴および三河で独立した直後の状況から家康が学んだのは、どういうことになるのでしょうか。

小和田 三河の地理的な状況からいうと、伊勢湾に近いので、伊勢の関係があります。織田信長は伊勢長島の一向一揆に相当苦しめられましたが、あの辺りには豪商をはじめとする商人たちに結構、一向宗の信者が多いのです。

 三河には「三河三ヵ寺」と呼ばれる大きな寺があり、それらが一向宗の寺院でした。家康が今川から自立(独立)した直後、永禄6(1563)年に蜂起して三河一向一揆となり、翌年まで続きます。この時期、家康にとっては(苦しかったのは)、単に宗教勢力と戦うだけではなく、一向宗側に反家康(当時は松平ですので、反松平)の一族がついてしまったことです。

―― これは、家臣もついたりしていますよね。

小和田 家臣もついています。ですから、宗教的な側面を持ちながらも、自分に敵対するものの連合体が三河一向一揆だったので、家康としても結構苦しめられました。有名な話ですが、後に自分の腹心になる本多正信も、一向一揆側の指導者として自分に刃向かったわけですし、蜂屋半之丞は、家康の顔を見るとこそこそ逃げ回るのに、家康がいないところでは一向一揆側で奮戦していました。

 そういうことで、当時の家康は結構苦しめられましたが、それをなんとか鎮圧したことにより、まずは西三河を自分の領土に確保します。その勢いで東三河まで領土を広げました。一向一揆のきつい洗礼は浴びたものの、家康にとっては一つのいい教訓になったのではないかと思います。


●一向一揆と戦った織田信長と徳川家康、その理由と相違点


小和田 もう一つ、これはよくいわれることですが、一向一揆と正面から戦った武将は意外と少なくて、信長と家康ぐらいです。他の武将は...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎