エネルギーと医学から考える空海が拓く未来
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雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
全ては光だと説く空海が、なぜその著書『秘蔵宝鑰』で、「死に死に死に死んで死の終りに冥(くら)し」と書いたのか。『秘蔵宝鑰』については、以前のテンミニッツ・アカデミー講義でも解説したが、そこから半年かけてこの書を読み返して、新たな解釈に至り、これまでの疑問が解けたという。個別生命における認識の限界を自ら設けることこそが「暗さ」であり、生命の光に覚醒すれば真如の世界となるのである。しかし個々人は、どうしても「分割」したものの見方に囚われて、それが見えていないのだ。空海が至った境地はいかなるものであったのか。その真髄を求めていく。(全6話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:8分29秒
収録日:2025年3月3日
追加日:2025年11月26日
≪全文≫

●「死に死に死に死んで死の終りに冥し」の新しい解釈


鎌田 『秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく)』ですが、以前テンミニッツ・アカデミーでも少し述べましたけれど、あれから半年以上たって、私、新しい解釈ができたのです。『秘蔵宝鑰』を読み直しました、何度も。

 冒頭にこの詩があるのですね。漢詩ですね。これを書き下せば、こうなります。

《悠々たり悠々たり太(はなは)だ悠々たり 内外(ないげ)の縑緗(けんしょう)千万の軸あり
杳々(ようよう)たり杳々たり甚だ杳々たり 道をいい道をいうに百種の道あり
書死(た)へ諷死(ふうた)へなましかば本何(もといかん)がなさん
知らじ知らじ吾れも知らじ……(欠文)
思い思い思い思うとも聖(しょう)も心(し)ることなけん
牛頭草を嘗めて病者を悲しみ 断菑(だんし)車を機て迷方を愍(あわれ)む
三界の狂人は狂せることを知らず 四生の盲者は盲なることを識(さと)らず
生れ生れ生れ生れて生(しょう)の始めに暗く
死に死に死に死んで死の終りに冥(くら)し》

 この最後の言葉はあまりにも有名な言葉なのですが、最後の言葉がよく分からなかったのです。「光が全てだ。通信もモビリティも情報も全部1つだ。光なんだ」と言っている、空海ほどの人が、「生れ生れ生れ生れて生の始めに暗く」とは何ごとか、と。なぜ分からないのか。暗いということが分からない、不明ということなのでしょう。つまり全部オンになりきっていないということなのです。暗いというのは限界があるということなのです。

 そして、「死に死に死に死んで死の終りに冥し」。つまり、生の始まりもよく分からない、死の終わりもよく分からない、ということを言っているのです。言っていることは、「生死不明」ということなのです。これでは解決にならないじゃないかと。

 でも、解決(の道)はあるはずだと考え直して、それで読み返しました。

《悠々たり悠々たり太だ悠々たり 内外の縑緗千万の軸あり
杳々たり杳々たり甚だ杳々たり 道をいい道をいうに百種の道あり》

 ここに秘密があるなと思ったのです。つまり、命、生命と光はもう本当に雄渾で、雄大で、甚だ雄大で、もうこれは理解を超えている、人間の認識の限界を超えているものなのだという...

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