家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
軍師・太原雪斎…幼き徳川家康に受けさせた教育とは
家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか(2)軍師・太原雪斎の教育
小和田哲男(静岡大学名誉教授/文学博士)
今川義元のもとで軍師を務めた禅僧・太原雪斎が徳川家康の幼少期に与えた影響は大きい。当時の僧侶は「無縁の原理」に守られ、敵国への出入りが自由にできたことから、外交やインテリジェンスの役目を果たした。漢文に通じ、兵法書を読みこなした雪斎は、竹千代に帝王学の手ほどきをした師であったともいわれる。(全5話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分24秒
収録日:2022年10月3日
追加日:2023年1月8日
≪全文≫

●今川義元が軍師・太原雪斎に竹千代を教育させた意味


―― 徳川家康の人間的な成長といった場合、前回先生がおっしゃった、今川家の軍師役でもあった太原雪斎の指導が非常に大きかったのではないかということでした。

小和田 大きかったですね。

―― 先生の著書によると、ちょうど家康が9歳から12歳ぐらいの時に直接教えを受けたということになりますか。

小和田 そうですね。

―― それはどのような指導だったのでしょうか。

小和田 はっきり分かっているのは、兵法(戦い方)を学んだということが『武辺咄聞書(ぶへんばなしききがき)』という史料に載っています。兵法書、いわゆる中国伝来の「孫子の兵法」などを学んだのでしょう。

 というのは、当時の寺、特に禅宗の寺は五山文学でも有名ですので、漢文や漢詩文を読み書きできるような教育がなされていました。中国伝来の兵法書は漢文で書かれていますから、それがスラスラ読めるような形になっていたことが一つあります。

 それから、これは史料にはなくて推測なのですが、いわゆる後にいう「帝王学」のような、上に立つ者の務め、すなわちリーダーシップ論のような教育も、結構受けたのではないかと思っています。

―― 太原雪斎という人物は、大河ドラマなどでも結構、重量級の役者さんが務めるケースが多いのですが、どういう人物になるのでしょうか。

小和田 もともと今川の重臣の息子です。現在も清水(区)に庵原(いはら)という地名がありますが、そこの出身です。当時そのぐらいの家では、一人を残して(その他は)寺に入れてしまうという風習があり、雪斎も現在の静岡県富士市にあった善得寺という寺に入れられました。修行中、京都の建仁寺へ行ったりしますが、そこへ今川義元の父・今川氏親から「息子を教育してくれ」と、お呼びがかかります。そうして善得寺に戻ってきまして、当時4歳の今川義元はそこで雪斎の教えを受けることになります。

 その後、成長した義元が今川家の家督を継ぐようになると、自分を育ててくれた雪斎を軍師として迎えます。その軍師に竹千代(後の徳川家康)を教育させたわけですから、これは義元としても相当な期待を竹千代に持っていた証拠です。

―― 同じ教育を受けさせるということになるわけですね。

小和田 そうです。自分の先生だった人に教育させるわけですから、義元は竹千代少年に結...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
戦国合戦の真実(1)兵の動員はこうして行なわれた
戦国時代の兵の動員とは?…無視できない農民の事情
中村彰彦
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹

人気の講義ランキングTOP10
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保