石田梅岩の心学に学ぶ
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全てが悟りに至る道…日本は茶や花や野球にも「道」がある
石田梅岩の心学に学ぶ(6)禅から茶道へ
哲学と生き方
田口佳史(東洋思想研究家)
道元の『辨道話』には「修証一等」の言葉がある。修行も悟りも同じことであり、修行は特別なことではないことを説く。坐禅だけでなく茶をふるまうのも花を活けるのも、生きることそのものが修行になる。ただし、ただ生きるのと修行として生きることには違いがある。その精神が茶道や花道にも継承された。それは道元の教え「一つひとつを丁寧に、真心込めて」である。(全9話中第6話)
時間:15分57秒
収録日:2022年6月28日
追加日:2024年5月13日
≪全文≫

●修行と悟りは同じこと?


 この『辨道話』の中には、もう一箇所、必ず読んでおいたほうがいいところがありますので、そこも少し読んでみたいと思います。その次の(資料です)。

 「それ修証はひとつにあらずとおもへる、すなはち外道の見なり。仏法には、修証これ一等なり。いまも証上の修なるゆゑに、初心の辨道すなはち本証の全体なり。」

 ここで言っているのは、「修行をするということと、その末に悟るということは一つではない、分かれていることなのだと思えるような見方は、外道の見方だ」ということです。ここは道元が最上級の力を込めたところで、「修証これ一等なり」と言っています。「修証一等」という考え方がここに出てくるわけですが、「一等」は今、一等~三等などというときの一等ではなく、「一に等しい」です。だから、修行することも悟ることも同じこと。したがって修行する上で「悟りのために修行する」というのはまったく間違いであるということになります。

 これは逆にいえば、悟った後の修行が重要だといっているわけです。大灯国師が悟った後、「五条橋の下で20年間修行してこい」と大応国師から言われ、「私は悟りました」と返すと、「悟ったから修行するのだ」と言われたのと、まったく同じことです。簡単にいうと、「悟った」などということは誇るべきものではない。もともと人間の持っているものに帰っただけで、それをもっと磨かなければいけないということです。それが「修証一等」の意味するところです。

 「いまも証上の修なるゆゑに」、証上の修は悟りの上の修行ということで、そうなっていれば「初心の辨道すなはち本証の全体」ということになる。「かるがゆゑに」、だからこそ「修行の用心をさづくるにも、修のほかに証をまつおもひなかれとおしふ」。悟ることのために修行するのではない、そんなちっぽけなことを思ってやるべきものではないということを言っています。

 「直指の本証なるがゆゑなるべし」。「直指人心」といいますが、「すでに修の証なれば、証にきはなく、証の修なれば、修にはじめなし」。これはすごいことで、修も証も、つまり悟るのも修行もまったく同じことなのだから、修行を始めることが悟るということだし、悟ったということは修行をこれからなお一生懸命やりますということである。証も修もまったく同じ...

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