【入門】日本仏教の名僧・名著~道元編
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『正法眼蔵』の入り口『弁道話』が述べる「修証一等」とは
【入門】日本仏教の名僧・名著~道元編(3)『弁道話』と修証一等
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
道元の書に『弁道話』がある。難解といわれる主著『正法眼蔵』の内容を分かりやすくまとめている、いわば導入的位置づけの著作だが、そこで道元の非常に重要な考え方である「修証一等」について語られている。「修証一等」とはどういうことなのか。その意味を説きながら、仏法における修行と悟りについて解説する。(全4話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分53秒
収録日:2020年9月30日
追加日:2022年7月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●『正法眼蔵』の入り口『弁道話』が述べる「修証一等」


―― それでは、次の文章にいきたいと思います。

『弁道話』というものですが、これはどういう位置づけのお話ですか。

賴住 『弁道話』というのは、道元が『正法眼蔵』を書くのに先立って書いたといわれています。『正法眼蔵』は非常に読みづらいところがありますが、その内容が分かりやすくまとめられていて、『正法眼蔵』に入るための導入に位置づけることのできる著作ではないかと思います。

―― では、さっそく読んでみたいと思います。

「仏法には、修証これ一等なり。いまも証上の修なるゆへに、初心の弁道すなはち本証の全体なり。かるがゆゑに、修行の用心をさづくるにも、修のほかに証をまつおもひなかれとをしふ。」

賴住 これは道元の非常に重要な考え方である「修証一等」について、端的に語っている部分です。

 「修証一等」というのは、次に「証上の修(しゅ)」と書かれているように、「悟り(証)の上で修行(修)する」ことです。日常的な行為をなす場合、私たちは「あれをするために、これを行う」と考えます。しかし、修行については、「悟りを開くために修行する」というのは言い方としてないわけではないのですが、修行と悟りの構造を考えたとき、悟りをゴールや出発点として修行を始めるということは本質的にあり得ない、と道元はいっています。

―― これはまた、一般の人が思うこととは違いますね。

賴住 そうですね。


●修行=悟りの世界では、「悟りたい」気持ちが妨げになる


―― 普通、修行するのは悟るためや道を究めるためというイメージですが、そうではないということですね。

賴住 そうなのです。私たちは実はすでに「空ー縁起」の世界にいる。つまり、あらゆるものがあらゆるものとつながり合い、働き合う世界の中にいるけれども、煩悩によってそれが見えなくなっている。執着があるから、それが分からなくなっている。だから、その執着をなくし、自分たちが本来はそこにあるのだと気がつけば(その「気づき」が悟りであり修行になるわけですが)、もう私たちは真理の世界の中で修行している。このように、一種の循環になっているのですね。

―― なるほど。もともとがそうなのだから、修行というものも、要はそこに入ればいい。だから悟りと修行は一緒...

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