【入門】日本仏教の名僧・名著~総論
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本仏教の「3つの特徴」…世界の仏教との大きな違いとは
【入門】日本仏教の名僧・名著~総論(3)日本仏教と世界仏教
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
仏教は言うまでもなく世界宗教の一つだが、日本仏教は世界のそれとは様相が違うといわれる。仏教学者・中村元氏の研究で明らかになった主な特徴は三つ数えられる。「出世間を重視しない」「戒律を重視しない」「仏教論理学に頼らない」ことだ。そうした特徴のもと、日本仏教は重層的な発展を重ねてきた。(全3話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分44秒
収録日:2020年8月20日
追加日:2020年10月8日
≪全文≫

●世界仏教と日本仏教を比較した中村元


―― もう一つ、先生にお聞きしたいことがあるのですが、前回の講義で「インドから来た大乗仏教の流れ」とおっしゃいました。ここまでは日本の流れを紹介いただきましたが、世界の仏教と比較した場合、日本の特徴というのは、どういうところになるのでしょうか。

頼住 実はそういう研究をされた先駆者の方がおられます。中村元(なかむらはじめ)先生という、仏教研究家・仏教学者として世界的に非常によく知られた方です。中村先生は、比較思想という意味でも、非常に大きなお仕事をされています。

 中村先生はインド仏教を研究されただけでなく、インド思想全体を研究されていたのですが、その後、中国仏教や日本仏教、韓国の仏教、チベットの仏教など、いろいろな地域の仏教を研究されました。

 同じルーツを持っている仏教でも、それぞれの地域での発展の仕方が全然違っています。もちろん歴史的な意味、歴史的な影響ということも大きいと思いますが、中村先生はやはりそれぞれの民族性というものがあるのではないかという仮説を立てられました。

 中村先生は『日本人の思惟方法』『中国人の思惟方法(シナ人の思惟方法)』『インド人の思惟方法』などの著作を書かれ、『チベット人の思惟方法』『韓国人の思惟方法』へと広げていかれました。その中で中村先生は、日本人が仏教を受け入れるときの特徴をいくつか指摘され、それが日本人のある種の傾向や民族性を表しているといわれています。



●「出世間」=出家を重視しない日本仏教


頼住 例えばどういうことを言っているのかというと、まず「しゅっせけんを重視しない」ということを、中村先生はとても大きな特徴として挙げていて、それは「現世主義的」ということにもつながります。

―― 「しゅっせけん」というと、どういう字を書くのですか。

頼住 「世間を出る」と書いて、「出世間(しゅっせけん)」と読みます。

―― いわゆる「出家」のようなイメージですか。

頼住 まさにそうです。もちろん仏教者としては「出家する」のは大切なことですが、それだけではなく、出家をしないで現世において活動することにもちゃんとした意味があるということを、かなり強調していきます。

 初回で聖徳太子について少し触れましたが、まさにこの聖徳太子という人は「篤く三宝を敬え」ということで、自分自...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦