人生に活かす東洋思想
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
道元の「一つひとつを丁寧に、真心込めて」が奇跡を生んだ
人生に活かす東洋思想(6)道元の思想
禅は難しいと感じている人が多い。まして曹洞宗開祖道元の『正法眼蔵』などは、名著と言われても歯が立たない人がほとんどだろう。しかし、禅の目指している境地、そこに道元が何を持ち込んだかを知れば、禅も道元も身近になるはずだ。(全8話中第6話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:11分23秒
収録日:2019年6月14日
追加日:2019年9月6日
カテゴリー:
≪全文≫

●禅が目指すのも、「天の境地」に至ること


田口 禅については、とてつもなく難しいように書かれることが多いです。ところが、私の論法からいえば、禅もやはり「天」や「神」に近づくための方法だと理解できます。これらは神と一緒の境地に至ることを目指すものですが、何も「そうなれ」と言っているわけではない。目指すかどうかが重要なことです。

―― 先生、そういうふうに言っていただくと、とても分かりやすくなります。道元の全集などを眺めるだけでは、極めて分かりにくいです。

田口 そう。『正法眼蔵』なども、「何を書いてあるの?」という感じですが、簡単に言えばそういうことが書いてあります。

 道元は私の最近の尚友で、前々回の話でいうと「道元君が私の今の最大の友人だよ」と言うくらい、道元という人に惚れ込んでいます。道元が同じ日本人であることに、私は時々震えるほどです。

―― なるほど。そこまでの惚れ込みようですか。

田口 あんな立派な人と同じ日本人だというだけでありがたく、そう思うと勇気が湧いてくる。とても立派な人です。道元がなぜ立派なのか。高僧などが言っているのとは少し違った、私流の解釈をお話ししましょうか。


●「本来、悟っている」のに、なぜ修行が必要なのか


田口 叡山の横川(よが、よかわ)というと、今でも多くの人が修行に行く場所です。道元の頃は時代が荒れていたので、貴族の成れの果てのような人物がとかく僧侶になりがちでした。そういういやらしいような連中が多くいるのが僧の世界で、通俗的なものが嫌でこちらの世界に来た道元にとっては、実はこちらのほうがもっと通俗的でひどい部分もあり、嫌な思いをすることも多かったようです。

 そのようななか、彼が「仏教とは何なのですか」と問うと、「生まれながらにして、人間は仏だ」と返された。さらに「生まれながらにして悟っているものだ」ともいう。これらを「本法性(ほんほうじょう)」と言い、「本来本法性(ほんらいほんほうじょう)、天然自性身(てんねんじしょうしん)」と言うのですが、「基本的に人間は生まれながらにして悟った存在であるというところから、仏教は始まるのですよ」と言われたわけです。

 この話を聞いた道元は、「仏であり、悟っているのに、なぜ修行が必要か」と疑問を抱きます。それまでに何千人もの修行...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一