人生に活かす東洋思想
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
なぜ「生きているだけで100点」と思えるのか
人生に活かす東洋思想(2)絶対的存在と絶対的孤独
哲学と生き方
田口佳史氏は、大学卒業後、映画会社に入社し、ドキュメンタリー映画の映画監督を務めるが、25歳の折、タイで撮影中に二頭の水牛に襲われ、角で刺されて内臓が飛び出すほどの大けがを負ってしまう。その治療でタイの病院に入院していた折、絶対的な孤独を体験することになった。その結果、見えてきたものとは?(全8話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:8分42秒
収録日:2019年6月14日
追加日:2019年8月31日
カテゴリー:
≪全文≫

●絶対的孤独を経験すると、ものが見えるようになる


田口 本当の愉快な人生とは、この世の絶対的存在と対話し、また、それを繰り返していくことによって、いつもこの辺(肩のあたり)に話し相手がいて、一緒にずっと歩いている。そういうわけなので、孤独感というものは、ない。

―― 同行二人(どうぎょうににん)になると、孤独感というものがなくなる。

田口 ない。ですから「不孤」ということを言います。人間は本当は「孤ならず」という。では、「孤ならず」になるとは、誰と一緒なのかというと、天や道といった絶対的存在と一緒になるのです。しかし、私は絶対的孤独も一回くらいは身に染みたほうがいいと考えています。

―― ものが見えるようになるのですね。

田口 見えるようになるし、怖くなくなる。絶対的孤独とは何なのかというと、私の場合は、タイのバンコクで夜中になすすべなく寝ていたときです。

―― 先生が水牛に刺されたときですね。

田口 水牛に刺されて、なんだか分からない無数のパイプが天井からぶら下がっている。天井の上の方には薬のビンが連なっていて、そこから何か送られてくる状況です。寝ている私の右側には看護学校の生徒か何か、正体のよく分からない人間が一人いて、看護どころかうつらうつらしている。

 リーンとベルが鳴ると、何かを替えなければいけないと婦長に言いつかっていたようで、彼女は無理やり起きて、半分寝ながら作業をしている。眠れない私が注意深く見ていると、こちらの薬のビンについていたのを別のものとつなごうとしている。「それ、違うよ」と何度か注意した。そのぐらい、誰一人私というものを真に見送ってくれることのないなか、あの世に旅立たなければならない。これが、絶対的孤独です。

―― なるほど。誰も見送ってくれないことですか。


●絶対的孤独を経て、「生きているだけで100点」と気づいた


田口 映画で(豊臣)秀吉の最期などを見ると、廊下に一家眷属(いっかけんぞく)がずらりと連なっている。脈をとっていた医者が首を振って終わりの瞬間を告げると、みんながどっと泣き崩れる。そういうのが最期の様子だと私は思っていました。

 ところが、よく分からないような人が一人いるところで、あの世に行かなければならない。行けば二度とこちらには帰って来られない。その思いはなんとも無念というか、孤独そのものでした。ず...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
「法華経はSFだ!」というナラティブの神秘的体験
鎌田東二
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
【入門】日本仏教の名僧・名著~総論(1)名僧の原著に触れる意味
「文は人なり」――原文を読んで名僧の思想の息吹に触れる
賴住光子
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治