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最大の秘訣は「感動のある人」になることだ

人生に活かす東洋思想(4)感動、尚友、孤高

情報・テキスト
日本人の土台である「儒・仏・道・禅・神道」が示すことは一つであるという。それは、天(=道=神)のような絶対的存在と同行できる人になることだ。そのために、「感動人間になること」「尚友を求めること」「孤高の覚悟を持つこと」が奨励される。(全8話中第4話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:07:54
収録日:2019/06/14
追加日:2019/08/31
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≪全文≫

●「儒・仏・道・禅・神道」の教えは一つの方向を向いている


田口 本来は、その地域や国、民族がずっと持っているものが土台になって、その上に違う地域から来るいろいろな思想・哲学が重なってくるべきです。ところが、日本人が持っていなければいけない「儒・仏・道・禅・神道」が、まったく顧みられていない。私はそれが残念でしょうがない。だから私の仕事は、この「儒・仏・道・禅・神道」を普及することだと考え、60歳からそれを始めました。それは自分の整理にもなります。今が77歳ですから、17年間やってきましたが、「帰一」とはよく言ったものだと思うようになりました。皆さんはこの五つを全然違うものと思われているかもしれないですが、言っているところは全てが一つの方向に向いています。

―― 一つの方向に、「儒・仏・道・禅・神道」の全部が向いているのですか。

田口 簡単に言えば、「天や道や神のような、絶対的存在とどう親しくなるか」ということで、どうすればそれが一緒に歩いてくれるかです。

―― なるほど、なるほど。どうすれば一緒に歩いてもらえるか、と。

田口 そういうことです。


●「絶対的存在」に一緒に歩いてもらうための秘訣とは?


田口 あなたなどはどうでしょうか。一緒に旅行に行く場合、「この人はちょっと嫌だな」という人と「ぜひ行こう」という人がいると思いますが、どういう人がいいですか。

―― それは、やはり人間性のいいことがまず前提になります。その上で、一緒にいる間に気付きやヒントを与えてくれるような経験値が多い人。そういう人だと、結構楽しいですね。

田口 さらに言えば、それは「感動がある人」でしょう。

―― なるほど。確かにそうです。

田口 そうでしょう。何を食べても旨いのかどうか分からない人間だったり、また自分が「すごい、風景だな」と思っているときに「そんなの、どうってことないですよ」というような人間とは行きたくない。

―― そうですね。確かに感動のある人です。

田口 だから、60歳以降に絶対的存在と歩いてもらうための最大の秘訣は「感動人間」になること。

―― そうか、先生。感動人間になることですか。

田口 「へぇー、そうか」「そうだったの?」「すごいね、これは」というような感動人間になればなるほど、向こうから「一緒に旅しようじゃないか」と言ってくれるし、「一緒に行きませんか、人生一緒に歩みませんか」とこっちから言っても、「イエス」と言ってもらえる。釈迦であれ何であれ、全部「一緒に歩こう」ということになるんですよ。


●「尚友」を求めるように勧めた孟子


田口 それについては孟子が面白いことを言っています。「今現存のちょっとした人物とか、そうした人間を友人にしているようでは、駄目だ」というのです。

 「尚友」と言いますが、尚という字は気高いことを表します。そういう人と付き合っていかなければいけないと言うのです。それは何なのかと言うと、「最近、君、いろんな人と付き合っていると聞いたけど、どういう人と付き合っているの?」と聞くと、「いろいろあるけど、最近特に付き合っているのが、孔子君とか孟子君とか、そういうのと付き合っている」と言えるくらいでなければ駄目だ。「佐藤一斎君も最近はよく一緒に旅に出たりする。吉田松陰君ともよく一緒に行くね」というふうにならないと駄目だと、孟子は言っているわけです。

―― それは、面白いですね。

田口 それには、やはりそういう偉人といわれる人との共通項を持っていなければ、親しくなりようがないわけです。

―― そうですね。共通項とか近いような体験、考え方が必要ですね。

田口 そういうものがなければ駄目なのです。そのために、数え切れないほど多くの偉人に共通することを考えてみました。そうすると、彼らは皆「絶対的存在と一緒に歩いた人」なのです。

―― なるほど。そうか、絶対的存在と一緒に歩いてきた人。

田口 それを偉人と呼ぶのです。


●「境地」に至るための「孤高」と「覚悟」


田口 逆に言うと、絶対的存在と歩むのは、偉人の後追いをしているということなので、偉人がよく分かってきます。孟子などを読んでいても、「なぜ吉田松陰があれだけ孟子を読んだのか」という吉田松陰の心境がだんだん分かってくるのです。そして、人間にとって大事なのはやはり「境地」です。どういう境地に至るかというのが、究極的に重要なことです。

―― そうか。どういう境地に至るかってことが重要なのですね。

田口 境地に至ることが、人生の究極の目標です。それを邪魔するものは何かというと、豪勢に暮らす、皆からちやほやされる、傲慢になるなどが数えられます。こういったものは全て、人間本来のあるべき境地に至らないように足を引っ張っていると思ったほうがいい。そこ...
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