人の資本主義~モノ、コトの次は何か?
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
唐の時代の禅僧が示唆する変容の姿と「人の資本主義」
人の資本主義~モノ、コトの次は何か?(5)モノからコトへ、そして人の資本主義
中島隆博(東京大学東洋文化研究所教授)
“Human Co-becoming”は人間の変容に価値を置くものだが、それにつれて資本主義はどう変わっていくのだろうか。従来の資本主義は「モノからコトへ」という筋道で発展してきたが、そこではもっとも重要な概念として「差異」という言葉が登場する。差異をつくり出し、差異を消費する方向に資本主義は向かっていったが、そこにはある種の限界があった。そこで、中島氏が提案するのは「人の資本主義」である。それが実現すれば、モノやコトの意味も問い直されていくのではないか。また、「社会的共通資本」の概念も見直されていくだろう。(全6話中第5話)
時間:9分58秒
収録日:2024年4月11日
追加日:2024年8月24日
≪全文≫

●変容する人間に価値を置く


 もう一度、「人の資本主義」に戻りたいと思います。「“Human Co-becoming”としての人間」を資本主義と結び付けるということは、これまで西洋哲学が前提にしてきた存在論、そしてそれに基づいた資本主義ではない、新しい想像力を必要とすることだと思います。

 私自身は、一人ひとりの人間が変容していくことを人間のチャンスだと思っていますし、実はそれこそが価値であると思っています。資本主義はやはり価値の問題を考えざるを得ないと思っているわけですが、これからの資本主義が考えるべき価値というのは、「変容する人間に価値を置くこと」。これが望ましいのではないのか。

 もちろん、人間はいろいろな方向に変容してまいります。どれでもいいというのではないわけで、「よい変容」ということがあるのだろうと思います。

 ここで、どうしても倫理の問題が出てまいりますが、それはまた後の倫理的資本主義のところで申し上げようと思っています。そうすると、資本主義はどうなっていくのでしょうか。

 資本主義にも変遷があり、非常に大雑把に申し上げると、「モノの資本主義」、「コトの資本主義」という段階が今までにあっただろうと思います。


●モノからコトへ、資本主義の変遷


 「モノの資本主義」は分かりやすいのです。労働によって製品というモノを生産し、流通させて、所有していく。人間は、「あなたは誰ですか」と訊かれると、「労働者です」と答えることが可能だったわけです。生産が労働の中心にあって、所有が生を彩っている。だから、「あなたは誰ですか」と訊くと、「労働者だ。働く者だ」と答えることができたわけです。そして、モノを所有していること自体に価値があると思われてもいたわけです。

 ところが、ある時期からモノが溢れてしまった。消費しても消費しても追いつかないほど、モノが溢れる。そうすると、身体的にだけではなく、精神的にも過剰なメタボリックに苦しむ。このように、非常に皮肉な状況が出てきたわけです。ですから、モノの生産というものを根本から考え直さないといけない局面に来ているのだろうと思います。

 その後に登場したのが「コトの資本主義」です。ここで...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
集中のスイッチを入れる方法は意識からと身体からの2通り
為末大
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(序)『ばけばけ』と『神国日本』
ラフカディオ・ハーンの遺著『神国日本』の深い意義とは?
賴住光子

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(9)「トランプ大統領」の視点・論点
【テンミニッツで考える】「トランプ大統領」をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(7)若者の引きこもりと日本の教育問題
日本の引きこもりの深い根源…「核家族」構造の問題とは?
與那覇潤
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(7)日本の倫理こそ未来の理想
他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
賴住光子
「同盟の真髄」と日米関係の行方(7)トランプ氏の評価とその実像
こりごり?アイ・ラブ・トランプ?…トランプ陣営の実状は
杉山晋輔
『貞観政要』を読む(2)著作に登場する人物たち
房玄齢・杜如晦・魏徴・王珪―太宗の四人の優れた側近
田口佳史
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
インフレの行方…歴史から将来を予測する(6)高市政権誕生の影響
ポイントは財政悪化よりインフレ?…高市政権でどうなるか
養田功一郎
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
新撰組と幕末日本の「真実」(1)近藤勇…教養人の素顔と日野宿本陣
近藤勇と日野宿本陣…多摩の豪農たちの財力と教養力の凄さ
堀口茉純