人の資本主義~モノ、コトの次は何か?
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
法然の考えとは真逆の意味に…「共生」という概念の歴史
人の資本主義~モノ、コトの次は何か?(4)Human Co-becomingと共生
中島隆博(東京大学東洋文化研究所教授)
人間を“Human Co-becoming”と捉え、「共生」という概念を他者と共に初めて人間的になっていくという在り方として提案する中島氏。共生という概念の歴史をたどっていくと、法然の唱えた共生を一つの源泉としているのではないかという考え方ができる。しかし、昭和に入ると、この言葉を「ともいき」という読み方にして捉え直した人物がいたり、また軍国主義の中でも用いられたりするなど、ちょっと厄介なことにもなる。そこで今回はそうした点を踏まえ、井筒俊彦氏の議論も交えながら、新しい共生として問い直すことの重要性を解説する。(全6話中第4話)
時間:14分20秒
収録日:2024年4月11日
追加日:2024年8月17日
≪全文≫

●“Human Co-becoming”の提案


 (シリーズ)冒頭にもご紹介しましたが、私は“Human Co-becoming”ということを提案してみてはどうかということを思っています。

 西洋哲学の文脈では、人間は“Human Being”(存在者)というように考えられてきた。なぜ人間を存在者として見るのかというと、当然そこには西洋哲学が持っている存在論があるわけです。「存在」としての神を探求することが第一の哲学である。これはもうギリシア以来、ずっと論じられてきているわけです。でも、本当に私たちは「存在」というヨーロッパ的な概念に拘泥しないといけないのか。これが今、問われているのだろうと思います。

 では、それに対抗する形で、西洋ではなく東洋哲学を研究している人々は“Human Becoming”ということをいったらどうかと。こういうことが言われるようになりました。私は、それを非常にいい提案だと思います。

 私はそこに“co”という言葉を付けて、「共に」といってみました。人間は一人で人間的になるのではなく、他者と共に初めて人間的になっていく。こういう在り方を考えればいいのではないか。そうすると、「存在」に代えて「変容」「生成」「変化」ということを主に置くわけです。これは、人間観の大きな転換になるのではないかと思います。

 このHuman becomingは新しい言葉ではあるのですが、実は古い概念の現代的な翻訳でもあると、私自身は思っています。例えば、古代中国の「仁」という言葉があります。「仁」という概念が当時開こうとしていたものを現代的に読み直すとHuman becomingになるのではないのか。そのように思っているわけです。

 このように、Human Co-becomingということを近年申し上げていましたところ、なぜか海外の先生方が「それは面白い考え方だ」と言ってくださるようになりました。

 ここにあるのは最近出た本ですが、『Gongsheng Across Contexts』というタイトルです。文脈を横断して、“Gongsheng”(中国語で「共生」)する。すなわち文脈を超えて共生する。副題は“A Philosophy of Co-Becoming”で、私が言ったことを採用してくださいました。ともにこうなっていくことを「共生」と捉えたらいいのではないか、と言ってくださったわけで、大変ありがたい試みだと思っています。...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
西郷南洲のリーダーシップ(1)薩長同盟と江戸城無血開城
江戸城無血開城で日本の危機を救った西郷隆盛の問題解決力
田口佳史

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(2)開国の是非と将軍継嗣問題
「尊王攘夷か佐幕か」…天皇絶対主義に結びつく厄介な問題
山内昌之
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
資本主義の再定義…哲学で考える(6)「学ぶ」ことの本質と道徳の問題
「一人で悟るのは危険だ」…学ぶことの本質と日本の役割とは?
中島隆博
平和の追求~哲学者たちの構想(3)サン=ピエールとモンテスキュー
「国連」の発想の源は?…一方、小共和国連合=連邦構想も
川出良枝