人の資本主義~モノ、コトの次は何か?
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
私たちはどんな社会を望むのか?鍵は「希望のレッスン」
人の資本主義~モノ、コトの次は何か?(2)社会システムの洗練と希望のレッスン
中島隆博(東京大学東洋文化研究所教授)
生成AIなど情報技術が著しく発達した現在、資本主義にはより賢くなってもらう必要がある。同時に、私たちの社会が真に豊かになるためには、社会システムを洗練することがどうしても必要であるという中島氏。そのためにも、私たち自身が「いかなる社会を望むのか」という問いを問うことによって社会的想像力を鍛えることが大事で、そこで提唱しているのは「希望のレッスン」である。どういうことなのか。今回は、村上龍氏の著書『希望の国のエクソダス』なども取り上げながら解説する。(全6話中第2話)
時間:9分40秒
収録日:2024年4月11日
追加日:2024年8月3日
≪全文≫

●資本主義にはより賢くなってもらう必要がある


 (前回お話ししたように)「人の資本主義」を考える以上は、人間を枯らさないような、花が開いていくような方向に持っていく。このことが肝要なわけですから、資本主義にはより賢くなってもらう必要があるのだろうと思います。

 つまり、適切な時期に適切に支えるような仕組みを、資本主義の中にちゃんと埋め込んでいくことが必要だということです。

 現在、生成AIなどもそうですが、テクノロジー、とりわけ情報技術というのは進んでいるわけです。ただ、そこにはやはり光と影の両方があるのだろうと思います。悪くすると人間を変な仕方で支配する方向に行きかねないわけで、そこには警戒を怠ってはいけないと思います。

 AIもそうですが、人工知能といわれているものはある種の計算をする能力です。私たちの世界を計算し尽くそうという欲望が深くあるわけですが、私たち人間が生きる中には、計算を外れるもの、つまり到来してくるものや偶然的なものなどが非常に大事なわけです。

 ところが放っておくと、計算し尽くそうという欲望が、到来するものや偶然的なものをあらかじめ排除してしまうようなことにもなりかねないわけです。

 しかし、それこそが、私たちの知恵の見せどころが来ていることを告げているのではないかと思います。

 私は(人工知能が)人間を支配したり、未来を支配したりすることは、原理的にできないのではないのかと思っています。なぜかというと、人間というものは到来するものや偶然的なものに開かれている。他者とともにある。そういうかたちで変容するものなのです。それを何らかの手段で支配し尽くすというのは、非常に難しいと思います。

 未来も同様です。未来というのは現在の延長線上にはないある種の新しさです。それを支配し尽くすということは、やはり無理だろうと思います。それでも今のアルゴリズムを構築するテクノロジーには、その方向に向かいたいというところがどうしてもあるわけです。

 ですから私は、アルゴリズム構築の中に、それが肥大化しない穴のような仕掛けを組み込むことが重要なのではないのかと思っています。つまり、人間が本当に自由になるために情報技術が使われるべきだ。そのことを徹底していったらどうかと思っているのです。


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
メソポタミア神話の基本を知る(1)メソポタミア神話の神々と人間との関係
メソポタミア神話は、ギリシア神話はじめ世界の神話の原点
鎌田東二
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
インド神話の基本を知る(1)インドの特性と神話の成り立ち
インド神話…『リグ・ヴェーダ』『マハーバーラタ』の壮絶な物語
鎌田東二

人気の講義ランキングTOP10
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
編集部ラジオ2026(31)鶴見太郎先生の「公開収録」のご案内
【公開収録のご案内】鶴見太郎先生:ユダヤ人と世界史…その歴史の教訓とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
ギリシア神話の基本を知る(2) 5つの時代と歴史観
ヘシオドスの『労働と日々』で描かれた「5つの時代」とは
鎌田東二
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(6)漢字と理性と想像力
漢字と理性と想像力…いま日本人が考えるべきこととは?
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉