運と歴史~人は運で決まるか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
幸運と不運はあざなえる縄のごとし…非行少年の運と実力
運と歴史~人は運で決まるか(3)幸運と開運
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
「幸運」と似た言葉に「開運」があるが、この二つは歴史的にみると少し違うと山内氏は語る。かつて或る国に非行少年だったが運にめぐまれて宰相に上り詰めた男がいたが、彼は本当に幸運だったのか。そもそも幸運とは何か。また開運のためには何が必要か。具体的な事例を挙げながら解説する。(2024年3月6日開催日本ビジネス協会JBCアカデミア講演「運と歴史~人は運で決まるか」より、全7話中第3話)
時間:13分35秒
収録日:2024年3月6日
追加日:2024年5月2日
≪全文≫

●才能も実力も乏しいが運にめぐまれて宰相に上り詰めた男


 日本人のわれわれであれば、「幸運」(グッドラックの「ラック」)という言葉は分かる。もう1つ、「幸運」に似た言葉に「開運」がある。じつは「幸運」は「開運」とは少し違うということを歴史的には見ておいたほうがいい。

 運と実力について。片方だけに恵まれているという人も中にはいると思います。実業あるいは官僚などで成功していく人には、運と実力の両方を兼ね備えている人も外見的にはいるかもしれないけれど、実はほとんどの人は片方だけで出発している。運が良かった、あるいは実力はあった。しかし、よくよく見ていくと、そこには微妙な重なりがあるということに気がつきます。

 次のような例は皆さんがあまりお聞きになったことのないケースでしょうから、今日、お話ししましょう。私の本業、もともとの職業としての学問、つまりイスラム史や中東国際関係史という世界にかかわる例を少しお話ししたい。

 主人公はこういう人です。若いときに、後にある意味で成功した(日本風にいうと総理大臣までたどり着いた)男は非行少年だった。

 問題はどういう非行少年だったかということです。ただの非行少年だったら、のちに成功はしない。非行少年だったけれど、どういうわけかこの人物は、他人に対して気前が良い、太っ腹、そして趣味といえば人にご馳走することで、人に会えば「メシを食わないか」と言って、とにかく人に奢るのが趣味だったという。そういうことが幸いした人間がいた。

 この太っ腹だけが取り柄だという非行少年、アブー・アッサクルがいた。この人物がどういう人間かは後で話すとして、彼はすこぶる幸運なめぐりあわせのおかげで、実力が追いつかない(実力がない)といってもいいのに、幸運には恵まれた人生をスタートさせたのです。

 人に飯を食わせようという自分の楽しみから、彼はいわば幸運を引いた。幸運を引いている人間はそのうちに仕事もしていきますし、力もついてくる。いろいろな仕事もできるようになる。彼は宰相(総理大臣)までなる人間です。アッバース朝という王朝です。

 アッバース朝という王朝をお聞きになったことありますか。高校世界史に必ず出てきます。ウマイヤ朝、アッバース朝、ファーティマ朝、マムルーク朝などたくさん習っているはずで、世界史の中でこれが分からないとやや困ります...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
企業改革の核心は何か(1)組織の危機をいかに克服するか
V字回復のためには社員に「個人の痛み」を迫る覚悟を持て
三枝匡

人気の講義ランキングTOP10
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
高市政権の進むべき道…可能性と課題(2)財政戦略3つの問題点
高市政権の財政政策の課題は…ポピュリズム政策をどうする?
島田晴雄
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
『タテ社会の人間関係』と文明論(8)タテ社会の構造改革を議論する
ヒントは幕末期の処士横議!?…タテ社会の構造改革に向けて
與那覇潤
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
おもしろき『法華経』の世界(7)真の救済に向かう
イエスも法華経のアバター?「全世界救済」の具体像を示す
鎌田東二
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(3)カントの公共性論
いま学ぶべきカントの挑戦~なぜ「公開性」が重要なのか
齋藤純一