運と歴史~人は運で決まるか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
徳川吉宗の政治顧問・室鳩巣が説く「運を磨く」ための方法
運と歴史~人は運で決まるか(5)「運を磨く」ことはできるか
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
江戸時代の剣術家にとって非常に大切な「運」があり、江戸時代の高名な儒学者で徳川吉宗の政治顧問だった室鳩巣は「武運を磨くことの大切さ」を説いた。そして、「運はどこから出てくるのか」という問いに対して、「運は天から出てくる」と答えたという。いったいどういうことなのか。室鳩巣の言葉の真意、その中身について、論語からの引用も取り上げながら詳しく解説していく。(2024年3月6日開催日本ビジネス協会JBCアカデミア講演「運と歴史~人は運で決まるか」より、全7話中第5話)
時間:9分26秒
収録日:2024年3月6日
追加日:2024年5月16日
≪全文≫

●「武運」は磨くことができるか


 次に、こういうことに似た日本のケースを見ていきます。運にもいろいろあるけれど、侍たち、剣術家たちにとって大事な運は何だったと思いますか、皆さん。

 宮本武蔵、柳生十兵衛、あるいはそういう種の人物たちにとって、金運(金の運)が大事だったか、あるいは女運(女性運)が良いか悪いかということが大事か。いずれでもありませんね。

 彼らにとって大事なことは、武芸と一緒に並び称される「武運」です。つまり、実際の自分の剣術、あるいは戦において運が味方するかどうか。それを彼らは「武運」と呼んだわけです。

 そうすると、次のことは彼らにとって永久の問いだったわけです。武芸というアート、そして武術というテクニックは、どちらが大切か。あるいはどちらも大切だとすれば、どうやって両立は可能か。なかなか難しい問題です。皆さんはどう答えるか。

 ちょうど5代将軍・徳川綱吉から8代将軍・徳川吉宗にかけて活躍した儒家(儒学者)に室鳩巣という人がいました。江戸時代の人間たちも、この室鳩巣に対して問いをしたのです。室鳩巣は当時、一流の学者であり、かつ吉宗の政治顧問だったような人間です。

 すると、彼は思いがけないことを言いました。要するに、武芸というものは職業だから稽古、トレーニングが大切なことは言うまでもない。だけれど、武運というものが尽きれば、侍にとっても武家にとってもどうしようもない。したがって、武運が大事なのだ。武芸はきちんと磨いて当たり前だ。けれど武運もきちんと磨くべきだ、と。

 そうすると、普通の人間はここで疑問に思うわけです。「武芸を磨く」ということは分かる。練習を行っていけば、ある程度まで剣道、剣術も強くなるし、人と戦っていくこともできる。だけれど、「武運を磨く」とはどういうことでしょうか、ということです。つまり、「武運を稽古しろ」と室鳩巣は言ったわけです。「武運を稽古する」とはどういう意味かということなのです。

 皆さん、武運をどうやって稽古すると思いますか。それがいかにもわれわれ日本人の祖先、先人らしいことなのです。そもそもわれわれのような凡人たちは、室鳩巣の周りにいた人たちと同じように、次のように疑問を持つわけです。「昔から、武芸はともかく、武運は稽古してできるものではない。運は稽古してできるものではない。稽古してできるものな...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(1)「生成AI」の画期性
「生成AI」実装の衝撃…人工知能の歴史と特長
渡辺宣彦
営業の勝敗、キリンの教訓(1)やる気のない社員になる理由
なぜ「やる気のある社員」が日本では6%しかいないのか?
田村潤
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治

人気の講義ランキングTOP10
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(3)水戸藩の問題と安政の大獄
安政の大獄は失政!?…井伊直弼は何を見誤ったのか
山内昌之
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
『江戸名所図会』で歩く東京~日本橋 (1)日本橋に見る徳川家康の手腕
徳川家康と江戸の町づくりー江戸時代の「日本橋」の姿とは
堀口茉純
原因と結果の迷宮~因果関係と哲学(6)不在因果の問題
不作為(◯◯しなかったこと)の原因は無限に拡散する
一ノ瀬正樹
ギリシア悲劇への誘い(7)ギリシア悲劇を論じた歴史
アリストテレス、ニーチェ…哲学者によるギリシア悲劇批評
納富信留
デカルトの存在論に学ぶ(1) 「我思う、ゆえに我在り」
「我思う、ゆえに我在り」はデカルトの専売特許ではない
津崎良典