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10分でわかる「ウォーレン・バフェット」

ウォーレン・バフェットの成功哲学(1)「世界一の投資家」の実像

桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト
情報・テキスト
「世界一の投資家」として有名で、バークシャー・ハサウェイの経営者でもあり、世界有数の資産家、さらに慈善家でもあるウォーレン・バフェット。2021年8月で91歳を迎えたが、今でも現役の投資家として活躍し、彼の一挙手一投足が注目を集めている。さまざまな肩書を持つウォーレン・バフェットとは、どのような人物なのか。(全7話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11:32
収録日:2021/09/15
追加日:2021/11/03
カテゴリー:
≪全文≫

●ウォーレン・バフェットの3つの肩書


―― 皆さま、こんにちは。本日は経済・経営ジャーナリストの桑原晃弥先生にウォーレン・バフェットについての講義をいただきます。先生、どうぞよろしくお願いします。

 ではまず、なぜバフェットかということです。彼は投資家の中でも特異な位置にあるのでしょうか。

桑原 そうですね。バフェットは今年(2021年8月で)91歳で、今も現役であることだけでも世界的には珍しいのですが、それだけではありません。バフェットには3つの肩書きがあり、単なる投資家に留まりません。1つは、「世界一の投資家」であること、そして2つ目は「世界有数の大富豪」であること、それから3つ目が、これが投資家としては非常に珍しい肩書きなのですが、「オマハの賢人」という肩書きがあります。これだけの肩書きを持っているのは、たくさんいる投資家の中でもバフェットだけであるというところにバフェットの特殊性、そしてバフェットが世界中から尊敬される理由があると思います。

―― 桑原先生、今の3つのうちの世界一の投資家とはどういうことでしょうか。

桑原 バフェットがなぜ世界一の投資家かというと、一番初めに自分でバフェット社という、いろいろなお客様からお金をお預かりして運用する会社をやっていて、解散するまでの12年間に年31パーセントの複利で成長させました。これはウォール街の平均的な数字をはるかに凌駕していたため、高い評価を得ます。

 その次に、バフェットはバフェット社のパートナーシップを解散した後で、投資会社としてバークシャー・ハサウェイを経営するようになります。そちらで経営権を取得して以降、今日まで約2万倍以上の上昇をしています。この数字は非常に恐るべき数字です。現在同社の時価総額は3736億ドルで、アメリカの株の中では第16位になっています。ちなみにトヨタ自動車が2497億ドルなので、いかにバフェットの会社が巨大なものであるかが理解できるかと思います。これら全てをバフェットは投資によって成し遂げたことによって、みんながバフェットを世界一の投資家だと認めています。

―― さらに個人としても非常に大きな資産を持っているということですが、2021年は世界第6位です。

桑原 そうですね。バフェットは1986年に『フォーブス400』で第5位に入って以来、毎年ベスト10に入り続けています。これだけでも奇跡的なことですが、2021年資産が1000億ドル、日本円で10兆円を超える恐るべき数字を出しています。今この数字を達成しているのが、表に出ているジェフ・ベゾスやイーロン・マスクといったそうそうたる企業家たちですが、その中の1人にバフェットがなっています。つまり世界有数のお金持ちであるし、その富が巨額であることが分かっていただけると思います。

―― そして3番目が「オマハの賢人」です。これはオマハの場所で、皆さんあまりご存じないアメリカ中西部に入ってくるのでしょうか。

桑原 そうですね。普通、株式投資をやるのはニューヨークです。企業を経営する人であれば、シアトルなどにいるのですが、バフェットは1人だけなぜかオマハ (ネブラスカ州)です。自分の生まれ故郷にいて、ずっとそこで生活をして、そこで会社を経営しています。住んでいる場所だけでもまず1つ特殊です。


●なぜウォーレン・バフェットは「賢人」といわれるのか


―― さらに「賢人」という言葉には「賢い」という意味がついていますが、これはなぜそういわれるのでしょうか。

桑原 これまで世の中には、世界的に有名になった投資家が山といます。例えばジョージ・ソロスや、ジム・ロジャーズなどの投資家がいましたが、彼らは「賢人」とは呼ばれていません。なぜバフェットが「オマハの賢人」と呼ばれるのかというと、理由は3つあります。

 1つ目は、先ほどお話ししたように、大富豪でありながら贅沢を嫌って、高額の報酬を得ることもしていないことです。若いときに買った小さな家に住み続けて、オマハでずっと暮らしています。しかも、自分が築き上げた資産のほとんどは慈善活動に振り向けています。この富に対する淡泊さと、それから富を上手に使うことが賢人たる所以です。

 それから2つ目です。1990年代にソロモン・ブラザーズという大きな金融機関が経営危機に瀕したことがあります。そのときにソロモン・ブラザーズの大株主だったバフェットは、報酬1ドルで暫定会長に就任します。ソロモン・ブラザーズのトップとして、決して隠し立てをせずに、全てを正直に話すという方針で、一流のビジネスは超一流のや...
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