ウォーレン・バフェットは、さまざまな経験によって得られた知見から、投資における原則を編み出している。目先の利益に左右されずに、長期的な視点を持つことや、素晴らしいと思えるビジネスに投資することなど、そこにはお金儲けを前提とした投資とは異なる、投資における彼ならではの哲学がある。今回から2話に分けて彼の投資原則について解説する。(全7話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
≪全文≫
●投資原則その1:株券ではなくビジネスを買う
―― バフェットの投資原則について、いよいよお聞きしていきたいと思います。まず1番目にはどういうことがありますか。
桑原 まずバフェットの投資原則は非常にシンプルで、それが非常に特徴的です。そこにはまず恩師であるベンジャミン・グレアムから学んだ投資原則と、その後バフェットが自分で身につけた原則等がいくつか入っています。
まず1番目は、「株券ではなくビジネスを買う」ということです。これはベンジャミン・グレアムが最も強く言っていたことです。人は株を買うときに、どうしても目先の株価をすごく気にしますが、バフェットにとって株価は関係ありません。もちろん低いほうが買いやすいですが、株価がどうなるかは、自分は全く気にしないということで、次のように言っています。
「今日や、明日、来月に株価が上がろうが下がろうが、私にはどうでもいいのです」、「10年、50年たっても欲しいと、みんなが思うものをつくっているかどうか。これが私の投資判断の基準です」、「農場を買おうとするときに、毎日その値段ばかり見る人はいません。買値に対してどれぐらいの生産高が見込めるかというところを見るでしょう。株式投資もそれと同じです」、そして「何万という会社の株価を目にします。そのうちの99.9パーセントには関心を払いません。注目するのは、株価ではなく事業です」と言っています。
つまり、株を買うのは株券ではありません。その企業が企業としてどれだけの可能性を持っているのか、成長性があるのか、価値があるのかをきちんと見極めて投資をしようということです。これがバフェットの第一の投資原則になります。
―― まさに投機ではなくて投資だということですね。
桑原 そうですね。
●投資原則その2:所有期間は永久でもいい
―― では2番目です。「所有期間は永久でもいい」ということです。
桑原 はい。結局、今はこれだけネットが発達したこともあって、株を分単位、秒単位で売買することがいくらでもできるし、それによって利益を得るのがいわゆる株式投資の常識になっていますが、バフェットの場合は基本的には売りません。できるなら長く、できれば永久に持っていたいのです。というか、永久に持つ気がな...