●「ペロブスカイト太陽電池」のサブスクで社会は激変する
前回、再生可能エネルギーを一次産業と考えて、農林水産業と一体化させる。それによって日本に魅力的な産業が生まれ、地方が再生するというお話をしました。今回はもう少し具体的な、今やるべきことを申し上げたいと思います。
ここ(スライド)に「太陽電池」と書きました。これはシリコン系の太陽電池で、発電部にシリコンを使う太陽電池ですが、今や新しい太陽電池が発表されていて、相当のところまで来ています。
これが「ペロブスカイト太陽電池」というものです。これは日本の宮坂力先生という方による大発見、大発明です。何がいいかというと、プラスチックのフィルムの上に塗れるため、非常に軽くて、非常に安いのです。効率も、研究レベルではシリコンに劣らないところまで来ています。
ただ最大の問題は寿命で、寿命がどれほどなのかよく分かっていません。もしかすると2~3年しか保たないかもしれない。だから、日本流にいう完成品にするには時間がかかるかもしれません。しかし、効率はある程度できていて、軽くて、フィルムに塗れるものですから、曲げたりできるわけです。
こうした特徴から、すでに世界の開発競争になっています。放っておけば、また負けるのではないかと思います。日本は完成してからマーケットに出そうとしますが、日本ではまだ必ずしも完成品といわれないようなものでも、世界では売っていく人たちがいるからです。そこで、日本が売りながら開発していくために、例えばサブスクビジネスのような形があります。
自動車なども、買うのではなく、借りて乗るというビジネスがあります。その特徴は、自動車の所有権をトヨタなりどこかが持っているということです。同じことをペロブスカイトの新しい太陽電池でもどんどん行えばいい、と私は思います。何しろ軽いので、これはちょっとした金具を用いてビルの壁に貼れるのです。
●実験しながらビジネスができるサブスク・システム
それから、(前回)ソーラーシェアリングについても申し上げました。畑や田んぼに支えの棒を立て、リボンのような形で太陽電池を載せるのだと言いましたが、シリコンでは重いし、ガラスも重く、アルミニウムも重い。全体として、シリコン太陽電池というのは、相当重いものです。
それと比べると、ペロブスカイト型の太陽電池というのは、プラスチックに塗るので、おそらく10分の1以下の重さになります。今のソーラーシェアリングのような形であれば、上が軽ければ軽いだけ、下の架台にかかる費用が非常に安く上がるはずです。
こういうものを、サブスクなり、リースなりという形でいいと思うのですが、所有権はメーカーやリース会社のようなところが持ち続ける。そして、発電した電気は出資に応じて農家が取ってもいいし、あるいはビルの人が取ってもいい。ここは、分け合えばいいと思います。
これは何がいいか。寿命がもしかしたら2~3年かもしれないと言われるようなものは買わないのですが、売るほうは最初からそれが分かっているので、モニターしていればいいわけです。(発電量が)落ちて劣化してきたときは、安いものなのですから交換すればいいのです。
さらに、劣化した太陽電池を分析する。どこが劣化してきているかということを調べて、もっといい新しいものをつくっていくわけです。
これは、実は実験室でやることです。でも、2~3年の劣化というのは調べるのが大変だから、うんと強い光を当てて劣化を促進してみるなど、いろいろな方法を採るのです。こういった実験室で行うことをビジネスとして始める。2~3年保つならば、壁に貼って、ソーラーシェアリングを進めることができるのです。
前回(太陽電池には)極めて大きなポテンシャルがあり、これから汎用品になっていくと申し上げましたが、開発途上のものに対して、こういうビジネスを行うべきだと思います。
●循環型社会に合うビジネスモデルはサブスク型?
私がなぜこのように考えたかというと、一つの理由は自分の家の太陽電池です。20年前に自宅に太陽電池を載せました。まだほとんど劣化はしていないのですが、最近少しずつ発電量が減っているように思われるのです。
それを自分で(調整できるか)。太陽電池は直流で、交流に直すパワーコンディショナーという半導体部分があるので、たぶんそこではないかと思っているのですが、はっきりいって素人には分かりません。もしかしたら、太陽電池が鳥の糞などでやられているのかもしれないですが、2階の上だから見えません。
しかし、もしもメーカーがこれを所有して、ずっとモニターしているとすれば、どこが悪いかもすぐ分かるし、交換するのも簡単です。
これ...