●モノの値段を「原材料費率」で並べてみる
今日は、これから日本がいったいどういうことで稼いでいくのかということを考えるための戦略として、一つの考え方を示してみたいと思います。
この図では、いろいろな製品の価格を、それをつくるための原材料の価格で割った比を示しています。
例えば一番左側に「電線」とありますが、電線の値段は、銅の値段と、それを絶縁する被覆のプラスチックです。これらの値段を足して1.2倍すると、それが電線の価格になります。要するにほとんど原料価格だということです。
一方で右側、例えば「プリウス(自動車)」ですが、原材料としては一番重い鉄が大きくなります。それからいろいろなプラスチックなどを足していくと、ほぼ40万円になります。売価はいろいろありますが、約400万円とすると、原材料の10倍ということになるわけです。
「ロボット」になるともっと高い。金属などのいろいろな材料を使っていますが、そうしたものの20倍から30倍ぐらいになります。また、材料にも「高機能材料」といわれるものがあります。こういうものは原料の10倍以上、100倍になるようなものも決して少なくないといったことがあります。
ここで大事なのは、リチウムイオン電池のような「蓄電池」や「太陽電池」です。これらは、再生可能エネルギーを導入したり、新時代の自動車(EV)をつくったりするときにコアとなるような製品ですが、原材料費の1.4~1.5倍。つまり、電線と同様の汎用品だということが分かります。
それから、ポリエチレンやポリスチレンのような汎用プラスチックといわれる普通のプラスチックです。極めて高機能の特殊なものでなく汎用のプラスチックであれば、1.2~2倍の中に入っているわけです。
●汎用品の戦略が自動車とは違う理由
皆さんの中には、蓄電池や太陽電池は非常に高価な難しいものだと思われている方もいらっしゃるのではないかと思います。20年前はそうだったかもしれませんが、今やもうすでに汎用品になっています。6~7割は原料費が占めるようになっているのです。
このような汎用の、原料に非常に近いものと、原料費よりはるかに高い売価のものでは、売るための戦略が当然違ってきます。
グラフの右側にあるのは、みんな日本が強いものです。プリウスのように自動車の中でも高...