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三人よれば文殊の知恵!? 重要思考で大事な「決める」技術

「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(3)「決める」技術(前編)

三谷宏治
KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授
概要・テキスト
『〔新版〕一瞬で大切なことを伝える技術』(知的生きかた文庫:三谷宏治著、三笠書房)
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「重要思考」で大事な「決める」には、高くそびえたつ「2つの壁」がある。心の壁と技の壁の2つだが、「重要思考」によって考え、伝え、聴き、そして伝え合う先に待ち受けている「決める」局面において、それらの壁を乗り越える必要に迫られる。そこで今回はサバイバルゲームを用いた取り組みなどから、個人で、あるいは他者と協調して意思決定をするための方法を学んでいく。(全4話中第3話)
時間:14:11
収録日:2023/10/06
追加日:2024/02/07
キーワード:
≪全文≫

●「決める」には、高くそびえたつ「2つの壁」がある


 では、『伝える技術』の3つ目です。今度は「決める」ということにいきましょう。

 重要思考で考え、伝え、聴き、そして伝え合う。それによってはじめて決めるということができていきます。

 決めることには2種類あります。まずは自分で決める、個人としての意思決定です。そして、伝え合って、話し合って、みんなで決める、集団としての意思決定です。同じようなところもありますが、まったく違う部分もあります。でも、残念ながらわれわれはけっこう苦手です。

 (そして)2つの壁があります。まずは心の壁です。正確にいうと、その壁をよじ登る必要がありません。決めなくていいのです。「そうだよね」と言っていれば、だいたい物事はすぎていきます。

 世の中に出ると「ほうれんそう」という便利な言葉があります。報告・連絡・相談、社会人の基本だといって叩き込まれます。でも、報告、連絡はともかく、相談って何なのでしょうか。上司が部下に対して「おまえ、必ず相談しろ」ということは、「おまえは決めるな」と言っていることと同じです。相談をしに来る子ども、もしくは部下はかわいいので、親は、そして上司はそれに対して、こうすればお父さんお母さんはあなたに反対しないよという、事実上の答えを与えます。「アドバイス」という名前での答えなのです。

 いくら相談しに行っても、よりよい答えが返ってくるので、子どもはそのうち面倒くさくなって、「こうしたいのだけれど」という相談ではなくて、「どうしたらいいかなあ」という相談に変わります。何も考えていません。何も決めていません。親はうれしいので、またいろいろと調べて考えて、「こうしたらいいのではないの」という答えを与えます。決める必要がありません。

 ちなみに最近、「ほうれんそうを徹底しろ」と言い続けると、どんどん部下が考えなくなるということに気がついた会社がいくつかあって、社内では、少なくとも上から「ほうれんそう」を求めることは禁止だとしているような過激な会社が何社かあります。

 そして、そういう会社での上司の役割は何かといったら、お客さんに謝ることだったそうです。どうせ失敗します。でも、失敗...
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