『孫子』を読む:九変篇
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
將に五危有り――リーダーが絶対に避けるべき5つの危うさ
『孫子』を読む:九変篇(3)「智者の慮」とリーダーの「五危」
田口佳史(東洋思想研究家)
「智者の慮」として、利益と危害の両面を熟考し状況に応じて適切に対処する必要があると、智者の熟慮について説く孫子。そして、最後に「將に五危有り」として、リーダーとして絶対に持ってはいけない5つの危ういポイントについて解説する。(全3話中第3話)
時間:12分30秒
収録日:2020年7月7日
追加日:2024年8月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●智者の慮――利害の両面を踏まえた戦略を考えておくことの重要性


 そこで、「是の故に、智者の慮は、必ず利害を雜(まじ)ふ。利を雜へて務むれば、信ぶ可し。害を雜へて患(うれ)ふれば、解く可し。是の故に、諸侯を屈するには害を以てし、諸侯を役するには業を以てし、諸侯を趨(はし)らするには利を以てす」です。いいことを言っています。

 「是の故に、智者の慮」、本当に智に長けた、要するに頭が図抜けて戦略的にできているような、そういう智者の熟慮です。それは「必ず利害を雜ふ」、つまり利ばかりを考えないで、害や危険な状況、損な状況、不利になる状況、失敗しがちな状況というものをちゃんと知っているという人が、要するに「智者の慮」なのです。

 そして「利を雜へて務むれば、信ぶ可し」、したがってこの害のとき、絶体絶命のピンチのときでも、こうすれば逃れられて、こうすればむしろこれが利になるということです。害が一転して利になるという、逆転の法則もあるということを考えなければいけないのです。

 また、「利を雜へて務むれば」というのは、前提が害のとき、不利になっているときですが、次の「害を雜へて患ふれば」は、利のとき、断然有利になっているときで、そのときに嬉しくなってしまって、それが逆転することは、どのようにしてそうなるのかを知らなければならないのです。敵軍のリーダーが1枚上手ということもあり得るわけです。

 したがって、こうなったら危険だということ知らないで、有利になった、有利になったといって喜んでいるようではだめなのです。ですから、害ということを考えなければいけないのです。

 今の状況でいえば、去年までの会社のようにうまくいっているからガンガン行けというときに、ものが分かっているリーダーは、いや、世の中はガラッと不利になってしまうかもしれないということも考えて、ただ行けというのではなく、こういう用意もする、こういう準備をしながら行かなければいけない、と考えてやっていた会社(のほう)が今、ものすごくいいわけです。ここでは、そのようなことをいっています。要するに「害を雜へて患ふれば、解く可し」で、害が解消される、不利が解消されるといっているのです。

 そして「是の故に、諸侯を屈するには害を以てし」、つまり、諸侯、周りの競合を屈するには、害、そ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
日本文化を学び直す(1)忘れてはいけない縄文文化
日本の根源はダイナミックでエネルギッシュな縄文文化
田口佳史
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(6)秀吉との信頼関係と秀長の軍事能力
文武両道の名将…秀吉に怒られなかったのは秀長と家康だけ
黒田基樹
「進化」への誤解…本当は何か?(3)進化学説史と近代の生物実験
ラマルクの進化論…使えば器官が発達し、それが子に伝わる
長谷川眞理子
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
逆境に対峙する哲学(8)白隠の覚悟
宮本武蔵「型を捨てろ」と「守破離」が教えてくれること
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
新しい循環文明への道(2)都市鉱山のデジタルツイン
都市鉱山のデジタルツイン…金やレアアースの宝庫がわが国に
小宮山宏
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二