『タテ社会の人間関係』と文明論
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
『失敗の本質』より先に指摘した日本型組織の弱点
『タテ社会の人間関係』と文明論(7)日本型組織とリーダーシップの問題
哲学と生き方
日本軍研究で知られる『失敗の本質』よりも前に、日本型組織の弱点を指摘していた『タテ社会の人間関係』。日本の軍隊と英米の軍隊を例にとって、人間関係を重視する日本型組織の特徴を鋭く指摘、さらに法然と弟子の話を取り上げながら日本型リーダーシップの問題も浮き彫りにする。では戦後の日本はどうだったのか。今回の講義では、そうした問題点に対して広範に議論していただく。(全8話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分00秒
収録日:2024年5月27日
追加日:2024年9月19日
≪全文≫

●人間関係を重視する日本型組織の弱点


―― そこでいうと、今のお話の流れでお聞きしたいのが、この本に書いてある、まさに先ほど冒頭で先生がおっしゃった縦割り社会ですね。縦割り社会の中の話で非常に印象深かったのが、競争は激しい反面、結構自由な感じですね。ルールに縛られない、上の人がOKであればいい、と。

與那覇 どんぶり勘定を容認するところがありますね。

―― 要は稟議の話も書いてありますけれど、上にぶつけて、「おい、やれ」と言われたら、やります。その上の人はなるべく、それこそ西郷さん的なリーダーシップではないですが、自分を殺して下の人をなるべく生かすような形でやっていきます。ですから、上の人のリーダーシップも少ないのです。たぶんそのあたりが一丸となって、エモーショナルも形成されるし、やり甲斐みたいなことができてきた要素もあると思うのですけれど、なんとなくその組織にそういうものを求めてしまう精神というのは残るのか、残らないのか。

 これは宗教形態によっても変わってくると思うのですが、日本の場合はやはり家制度なので、宗教も家ですね。要するに、ご先祖を祀らないと自分も祀られなくなってしまうのでという、教会的なあり方とはまったく違う文脈でやってきたのが、たぶんこういうのにも影響してくるところもあるのかなと思うのですけれど、日本人のそういう、なにか自分の自由にやりたい、なんとか自分の自己実現をかなえてほしい、というような欲求を「場」に求めるということが、このあとどうなっていくのかということについて、先生方はどのようにお感じになりますか。

呉座 そうですね。これはもう、ただ若い人の感覚からすると、今の若い人は必ずしも仕事にやり甲斐を求めているわけではなくて、アフターファイブの趣味のような、そちらのほうで自己実現を求めるという人も結構いるという話は聞きます。もし、そうだとすると、職場という場でのエモーショナルな一体感、そこでのやり甲斐、自己実現のようなところを重視するのではなくなってくるわけです。

 それこそ、先ほどいった「会社の飲み会に残業代が出るんですか」という感じの人が増えていったら、そのエモーショナルな一体感というものが、会社、組織、職場において求められなくなります。ですから、そういうものは趣味の場、サークルとか、アフターファイブのサークルとかで味わえばいい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
【入門】日本仏教の名僧・名著~総論(1)名僧の原著に触れる意味
「文は人なり」――原文を読んで名僧の思想の息吹に触れる
賴住光子
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(1)言葉の正しさとは
「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景
なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(8)満州事変と世界大恐慌
「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実
片山杜秀
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(1)弥生時代はいつ始まったのか
なぜ弥生時代の始まりが600年も改まった?定説改訂の背景
藤尾慎一郎
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子