『タテ社会の人間関係』と文明論
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ヒントは幕末期の処士横議!?…タテ社会の構造改革に向けて
『タテ社会の人間関係』と文明論(8)タテ社会の構造改革を議論する
タテ社会の問題をどう乗り越えていけばいいのか。この問題に関連して、平安時代の朝廷における「陣定」という貴族会議で、発言しやすいように身分に準じて発言の順番を変えたという話が取り上げられているが、そうした小手先のやり方で解決するレベルの話ではないだろう。ではどうすればいいのか。コロナ禍のリモートワーク、ディベート型教育、幕末期の処士横議などを話題に挙げながら、タテ社会の構造改革として新たな「ヨコ」の価値を見いだすという発想について議論して講義を締めくくる。(全8話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分09秒
収録日:2024年5月27日
追加日:2024年9月26日
≪全文≫

●朝廷での貴族の会議にも表れていた日本的な上下関係


―― 実は最後に、私の問題意識としてお聞きしようと思っておりましたのが、タテ社会(縦割り社会)があるわけですけれど、これ(『タテ社会の人間関係』)をよく読んでいると、上の立場に立った人は、ある意味、先ほどちょっと問題提起させていただいたように、実はリーダーシップが少ない(ということについて)です。

 下の人たちは結構自由にやるところがあるけれど、その分、いろいろ調整が大変だったりとか、人間関係に苦しんだりといった、競争があったりして大変ですと。そういう構造なのだなということで、それが日本なのですと。

 実はこれを読んでいて思ったのは、建前はみんな平等なのですけれど、中に相当な上下関係がある社会ということです。例えば、大学の教授会の話とかもここに書いてあったりするわけですけれど、建前ではみんな「平等ですよ」と言うだけで、中にタテ社会があるような場合が一番大変だというような話を結構書いていて、批評することもできませんとか、いろんなことが書いてあるのです。けれど、中途半端な改革をするとそういうことになりはしないのかということです。

「皆さん、平等です」というところから、例えば「社内でも平等です」とやったところで、結局、一番きつい形のパワハラのような状況が生まれてしまわないだろうかとか、そのような気がしないこともないですけれど、この時代的な分析をどう生かすべきかというところで、最後に締めていただけるとありがたいと思いますけれど、そのあたりはどうでしょうか。

呉座 やはり小手先を変えればいいということではないというのはそうだと思いますが、例えば大学も要するに呼称が変わりましたね。助教授を准教授に、助手を助教に変えたというのは、それまでの講座制だと、助教授とか助手というのは、大学教授の子分という扱いになっているので、これは良くないと。

 助教授、助手も独立した研究者であって、研究者という立場においては大学教授と対等であるから、だから名称を変えましょうということで、准教授という名前になったり、助教という名前になったのですけれど、名前を変えればいいという問題でもないのではないかという、そういう問題もあるわけです。ですから、これはすごく難しいですね。

 今(2024年)、大河ドラマで『光る君へ』というのをやっていま...

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