『タテ社会の人間関係』と文明論
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なぜ平成は失敗したのか…究極の競争社会と日本の特殊性
『タテ社会の人間関係』と文明論(5)建前で動く日本社会と平成の失敗
「海外よりも、より究極の競争をしてきたところがあるのではないか」と、『タテ社会の人間関係』で示唆した中根氏。「タテ社会」の日本では、法制度は建前としての役割が大きく、契約が情緒的な駆け引きの道具になっているという。それを是正しようと競争を煽るなど平成の改革を試みるも失敗に終わる。なぜ日本は失敗したのか。どこを見誤ったのか。今回の講義ではその要因と建前で動く日本社会について、自民党の派閥政治などの話も交えながら考える。(全8話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:16分05秒
収録日:2024年5月27日
追加日:2024年9月5日
≪全文≫

●実効性より建前が強かった中世の法


―― 先ほどのルールというところでお聞きしたいのですけれど、日本もそれこそ御成敗式目もそうですし、いろいろな御触書もそうですが、農民に対してもいろいろなものが出ますし、武士の中では御成敗式目のようなものがあったり、一応法律はあります。

與那覇 武家諸法度とかもそうですね。

―― ええ。公家諸法度とかも含めてやっていたわけですね。日本のその法律の適用の特徴というものは何かあるのでしょうか。

呉座 特に江戸時代の御触書ですが、村とかに対して幕府が出す御触書みたいなものがあります。今でも日本社会の問題になると思うのですけれど、結局、江戸幕府とかが出す御触書などの実効性がどこまであるのかということですが、建前としては、これは禁止であるとか、贅沢をしてはいけないとか、なにか身分不相応の贅沢をしてはいけないとかです。

 それこそ慶安の御触書などはあとからつくられたものではないかといわれていますが、あの御触書とか、ともかくあれはダメ、これはダメと禁止されているのですけれど、それによって、禁令に反したからといって、処罰されている人がそんなに多いかというと、そうでもなくて、時々見せしめみたいなことが行われるだけです。

 実際に厳格に、それこそ交通のスピード違反のネズミ捕りじゃないですけれど、時々見せしめでやることはありますが、しょっちゅうそのルールに反しているかどうかというのを厳格に問うているというよりは、道徳の教科書というか、モラルとしてこれは大事だよねというように、建前として動いているというところが大きいと思いますね。

與那覇 御成敗式目は鎌倉からですけれど、いわば日本の中世・近世ぐらいの何とか法のようなものというのは、意外と今でいうところのコンプライアンス宣言のようなもので、建前としてはこうなっています、わが社は超コンプライアンスを守っています、ということを言ってみましたというような、それに近いところもあったわけですか。

呉座 江戸時代のもそうですが、中世の法も、どこまで実効性があるのか疑問だなという法は結構あるのですね。特に「代替わり新制」といって、代替わりのときにスローガン的に法律を出すということが結構よくあります。その御成敗式目とかも、もちろん実効性もある程度はあるのですけれど、一方で、御成敗式目とかに限らず中世の...

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