現代人に必要な「教養」とは?
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
同調圧力で何も言わない若者、議論を阻むタテ社会の壁
現代人に必要な「教養」とは?(3)ダイバーシティの場とタテ社会の問題
知識が圧倒的に不足していた時代には、いわゆる「知識人」とよばれる人が尊敬された。しかし、情報があふれ、それに誰でもたやすくアクセスできる現代では、知識の多寡は教養の有無にとって決定的な条件ではない。むしろ違う分野の人と交流し、互いの知識を結びつけ、新しいものを生み出す、ダイバーシティの場に着目したい。(全8話中第3話:2022年6月29日開催ウェビナー〈現代人に必要な「教養」とは?〉より)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:15分28秒
収録日:2022年6月29日
追加日:2022年10月14日
≪全文≫

●知識が増えてしまった時代、本質も変質していく


―― そういう意味でいうと、冒頭で言われたような高等遊民、教養主義でシニカルに批評だけしてしまうような人、「私は知っているが、それは無理だね」と言ってしまうような人というのは、知ってはいるけれども教養がないということになるわけでしょうか。

小宮山 (そういう意味では)今は比較的いい時代になってきましたね。昔は、「いや、それはねえ、難しい。できないんだよ」と言っているほうが賢く見えたし、当たる確率が高かった。

―― 昔は「できない」というほうが当たったのですか。

小宮山 そうです。いわゆる知識というものが人間に少なかったから。ところが今は、ものすごく知識が増えてしまった。だから、信じられないようなことが急激にできるようになっています。

 テンミニッツTVでも以前に話しましたが、典型的なのが、たくさんの専門家の中で「一番速いという人でも3年はかかる」と言っていた(新型コロナの)ワクチンで、10カ月ほどで市場に出てしまいました。あれなどはいい例で、だから私などは、2050年のゼロカーボンについて「そんなこと、できるに決まっている」と思っているわけです。それについての根拠が大量にあるわけではないけれども、そう思います。

 だから、変わってきたのではないかな。なんといえばいいでしょうか。

長谷川 (昔は)知識があって、ある程度ものが見通せる人が「そんなことできませんよ。駄目ですよ」と言っているほうがかっこよかった。

小宮山 そうそう。

長谷川 でも今は、それではかっこよくなくなったわけですね。

小宮山 そうです。膨大な知識を持つ人間がえらいのは、アリストテレスの頃は当たり前だったし、デカルトやカントの時代もそうでした。ところが今では、例えばデリダのような人であっても、「今のAIは知らないでしょ」と言われるようになっています。(かれら先哲に)聞けば「本質は変わらない」というだろうけれども、では本質とは何か。どこにアプライ(=適用・応用)するかによって本質すら少しずつ変質してきます。だから、教養というのも当然変質してくるのだろうと思います。


●オープンイノベーションとダイバーシティの重要性


―― 今言われた「昔はできないと言うほうが確率が良かった。これからはできると言ったほうが確率がいい」というのは、非常に本質に属...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
内側から見たアメリカと日本(4)アメリカ労働史とトランプ支持層
ギャングの代わりに弁護士!? 壮絶なアメリカ労働史の変遷
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
テンミニッツ・アカデミー編集部
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
徳と仏教の人生論(3)無分別知と全人格的思惟
般若とは何か――秋月龍珉からの命題を探求し到達した境地
田口佳史