『タテ社会の人間関係』と文明論
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
タテ社会はアウトソーシング嫌い!? AIでも変わらない日本
『タテ社会の人間関係』と文明論(6)エモーショナルなタテ社会のつながり
日本は江戸時代から競争が激しい社会で、敗者への救済は乏しく、非公式な集団に救いを求めてきた。現代では企業が従業員の福祉などを担う形が一般化されたが、こうした「タテ社会」の構造が日本独自の終身雇用や企業内福祉として定着して続いている。そこには、エモーショナルな「場」としてつながる人間関係があった。しかし、近年、AI活用が急速に拡大し、契約社会への移行も進み始めている。そうした状況の中、「タテ社会」日本はどうなっていくのだろうか。(全8話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分47秒
収録日:2024年5月27日
追加日:2024年9月12日
≪全文≫

●「場」のエモーショナルでつながる人間関係


―― そこですごくお聞きしたいのは、平成は比較的ドラスティックに敗者に厳しい社会でしたね。例えば、江戸なり、中世、あるいは昭和期でもいいのですけれど、何らかの救いの機能がないと、その社会は成り立たないと思います。要するに競争は結構激しかったですと。各藩の中でも結構競争はありますと。特に寛政の改革以降、江戸時代でも結構登用されるようになります。そこで実力で上がってくる人はいいのですけれど、そうではない人に対する救い的な部分というのは、日本社会に何か埋め込まれていたのでしょうか。

與那覇 これはどうでしょう。

呉座 もちろん貧民救済みたいなことはやっていますけれど、でも、それはなにか飢えている人にお救い小屋といったような、そういうレベルはありますが、競争で負けた人をなんとか救おうというような感じのものは、江戸時代はない気がしますね。

與那覇 オフィシャルには実は救ってくれなくて、おそらく(『タテ社会の人間関係』の)168ページに書いてあるような、オフィシャルじゃない集団に行くのでしょうか。ここに挙がっているのは、例えば中根さん曰く、「ヤクザの世界に入った子どもというのは、何回、連れ戻して、更生しようとしても、やはりヤクザの世界に戻る」と。「ヤクザの世界では、保護施設とかでは得られないような理解と愛を受ける」からで、それはいわばタテ社会特有の、「おまえがどこの出身かは知らないけれど、この場所に来たのなら、この場所のみんなでエモーショナルに、俺の子分になるのなら面倒をみてやろう」というような、なにかそういうものがやはり居心地が良くなるからなのだとあります。

 これは戦後、盛んになった新興宗教の集団にも通じているものがあります。名前として挙がっているのは創価学会とか立正佼成会。もちろん宗教ですから、こういう教えですよと言って布教はするのですけれど、それ以上に「この人が自分を勧誘してくれて、ものすごく熱心に説得してくれたから、この人となら一緒にやっていけると思った」という、そういうところで居場所をつくっていくことにも通じているのではないかと。

呉座 やはりずっと江戸時代の感覚というものが続いているのかなと思います。だから今でも政府が救うというよりは、会社が従業員を抱え込んで保護してあげるという、救済は企業に任せるとい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
集中のスイッチを入れる方法は意識からと身体からの2通り
為末大
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙

人気の講義ランキングTOP10
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
おもしろき『法華経』の世界(9)「如来寿量品」と三身論
仏の寿命は無量で久遠に実在する…「如来寿量品」の神秘
鎌田東二
こどもと学ぶ戦争と平和(2)「本当の平和」とは何か
「平和」には2つある…今の日本は本当に平和なのか?
小原雅博
逆境に対峙する哲学(10)遺産を交換する
ナイチンゲールの怒りから学ぶこと…逆境の中で考えるとは
津崎良典
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
「アカデメイア」から考える学びの意義(4)学びの3つのキーワード
より良い人生への学び…開かれた知、批判の精神、学ぶ主体
納富信留
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一