オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
『失敗の本質』初版から30年…同じ失敗を繰り返す日本組織
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(2)失敗の本質
三谷宏治(KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授)
第二次世界大戦時の日本軍の失敗の原因を分析した『失敗の本質』は、組織論の名著として長らく読み継がれている。そこで指摘される日本軍の2つの失敗要因は、軍隊に限らず、あらゆる日本型組織に潜在している。論理より人情を重んじてしまう日本的な組織慣習をいかに脱すべきかを解説する。(全5話中第2話)
時間:9分44秒
収録日:2024年9月17日
追加日:2024年12月20日
≪全文≫

●失敗の本質:2つの失敗要因


 三谷宏治です。今回は『オリエント 東西の戦略史と現代経営論』から『失敗の本質』を紹介します。

 『失敗の本質』という本では、日本軍の第二次世界大戦における失敗が経営的視点で分析されていて面白いですよね。この本では、まずミッドウェー海戦やインパール作戦など、6つの大規模な作戦行動について、その経緯と失敗の原因が詳細に分析されています。

 次いで2章では、失敗の本質として、「戦略上の失敗要因」が5つ、「組織上の失敗要因」が4つ挙げられています。前者はそもそも戦略目的が曖昧で、統一行動が取れないというところから始まり、意思決定が論理的でなく情緒や空気で決まる。いつも奇襲戦法ばかりで戦略オプションが進化しないなどが指摘されています。

 そして、組織上の失敗要因では、人的ネットワーク偏重の組織構造や評価が結果ではなく、プロセスや動機でなされることなどが描かれています。大規模な作戦が破滅的な結果で終わっても、責任者である司令官や作戦参謀レベルが一時期の左遷や転勤ですまされることがままありました。そして、要職に復帰して次の大失敗を引き起こします。

 特に陸軍では積極論者は失敗が許され、自重論者は冷遇されました。インパール作戦でも作戦に反対した現場幹部は全て更迭され、反対の声は止みました。作戦を主導した牟田口廉也司令官を諫めようとする現場の努力も、軍上層部からの「それでは牟田口の体面が悪い。彼の積極的意欲を尊重せよ」との言葉でうやむやに。

 結局、軍幹部全員が、首相でもあった東條英機大将の悪化した戦局を打開したいとの意向を忖度し、論理性ではなく、対面や人情で意思決定や人事を行いました。これで戦いに勝てるわけがありません。


●明確な戦略目的がないと失敗は繰り返される


 3章では、だからこうすべきだという解決策が、自己革新組織の原則として6つ挙げられました。1つ目が面白くて、不均衡の創造です。「一枚岩の組織はダメだ」の裏返しです。不均衡を生むには能力主義による抜擢人事をしなくてはならない。平時から戦時への切替人事が必要だということです。

 他にも、創造的破壊による突出や...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
営業の勝敗、キリンの教訓(1)やる気のない社員になる理由
なぜ「やる気のある社員」が日本では6%しかいないのか?
田村潤
生き続ける松下幸之助の経営観(1)今も生きている幸之助
松下幸之助の考え方には今と昔を貫くものがある
江口克彦
真理は平凡の中にある
感動した言葉は野球部監督の「あいさつは野球より難しい」
上甲晃
重職心得箇条~管理職は何をなすべきか(1)時代に請われ、時代に応えた佐藤一斎
リーダーの心得…幕末の偉人たちを育てた佐藤一斎に学べ!
田口佳史
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
組織改革の要諦~活性化と人材活用(1)準備、スピード、タイミング
組織改革は最初に全体像と将来像を示すのが重要
秋池玲子

人気の講義ランキングTOP10
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(7)ポグロムとホロコースト
歴史の中のユダヤ人大量虐殺…ポグロムとホロコーストの違い
鶴見太郎
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(4)ビットコインは通貨たりうるか
ビットコインは通貨たりうるか…法定通貨との併存も困難?
養田功一郎
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
編集部ラジオ2026(11)日本史から読むメンタルヘルス
【10min解説】與那覇潤先生《日本人とメンタルヘルス》
テンミニッツ・アカデミー編集部
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(3)稲作社会と頑張る日本人
ダメなのは「頑張りが足らない」から…うつを招く稲作的発想
與那覇潤
これから必要な人材と人材教育とは?(2)AI時代に必要とされる能力
AI時代に必要なのは「問いを立てる能力」…いかに育成するか
柳川範之
高市政権の進むべき道…可能性と課題(4)外交力と防衛力の強化へ
求められる「能動的サイバー防御」、問われる本物の外交力
島田晴雄
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(5)海外協力隊と国際交流
永遠の課題は透明性…国際NGOに求められるガバナンス意識
小原雅博