『孫子』を読む:九変篇
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失敗する日本のやり方…『孫子』に学ぶ華僑との違い
『孫子』を読む:九変篇(1)主導権を握るために
田口佳史(東洋思想研究家)
変化が激しいと敵の実態をつかめない。実態がよく分からないことほど恐怖に思うことはない。つまり、戦略として実態を明らかにしないことが非常に重要なのである。今回から3回にわたって学んでいく『孫子』の「九変」とは大いなる変化を意味する。それにどう対応したらいいか。主導権を握れるかどうかがポイントとなる。華僑のやり方を例に解説していただく。(全3話中第1話)
時間:14分09秒
収録日:2020年7月7日
追加日:2024年7月18日
カテゴリー:
≪全文≫

●「九変」とは大いなる変化、実態を明らかにしない戦略


 『孫子』講義、今日は『孫子』講義の「九變(九変)」です。『孫子』はご承知のように13篇から出来上がっておりまして、今日は8篇目で、それが「九變」です。九という字は「大いなる」という意味合いがあります。要するに、大いなる変化ということをここで言っているわけです。

 実態を敵に知らせないということが一番重要であり、敵の恐怖心というものはどこから出てくるのかというと、敵の実態がよく分からないというぐらい、恐怖に思うことはないということです。実態がよく分からないということで、われわれは恐怖のどん底に突き落とされることになるのです。

 そのようなことからいっても、要するに、変化が激しいから敵の実態をつかめないなどということは、とてもうまいやり方なのです。ですから、要するに惑わされないで敵の実態をよく知るということがまず真っ先に重要なので、その反対戦略としては、実態を明らかにしないということが、非常に重要だということです。

 それでは、最初から読んでまいりましょう。

 「孫子曰く、凡そ兵を用ふるの法、將、命を君に受け、軍を合はせ衆を聚(あつ)むれば、ヒ地には舎(やど)る無く、衢地(くち)には交はり合い、絶地(ぜっち)には留まる無く、圍地(ゐち)には則ち謀り、死地には則ち戦ふ」ということです。

 ここでは地形というものを挙げて、こういう地形のところには、このようなことをしてはいけないということを問うています。「孫子曰く、兵を用ふるの法」の兵を用いるというのは、要するに軍隊を動かして戦闘態勢に移って戦闘するところまでのことで、それが兵を用いる法なのです。

 そしてまず将軍は、つまり軍隊のリーダーは「命を君に受け」ます。君主から戦争だと言われると、軍を編成してどこそこに行けという命令を君主から受けます。そして「軍を合わせ」、当時は職業軍人という人ばかりではありませんので、そういう意味では、一般大衆を集めて、召集して、それで軍隊にするわけですから、「軍を合わせ衆を集むる」ということです。

 このように集めて軍隊ができ上がると、それを行軍して戦地に行くぞということになりますが、そのとき、そこで非常に重要なのが地形だといっているわけです。その地形で、まずヒ地というのは何かとい...

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