『孫子』を読む:行軍篇
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
桶狭間の戦いに学ぶ、不利を有利にするための戦略論
『孫子』を読む:行軍篇(3)極端な地形での戦い方
田口佳史(東洋思想研究家)
「高所を好み低所を避け、陽を重んじ陰を避ける」――この基本原則こそ、行動の自由と戦力の維持に重要だと孫子は説いている。それは、四方を山に囲まれているようなところや密林、狭く細いところなど、極端な地形での戦い方にも通じる話である。つまり、戦略とは不利な状況を有利にするためのものである。そうした点について、織田信長と今川義元が行った桶狭間の戦いを例に取って解説する。(全6話中第3話)
時間:10分48秒
収録日:2020年10月9日
追加日:2025年1月19日
カテゴリー:
≪全文≫

●弱点や問題点を抱えて進んではいけない


 次に行きます。「凡そ軍は高きを好んで下きを悪み、陽を貴んで陰を賤しみ、生を養いて實に處(お)る」と。これは前からずっといっていることですが、やはり「高きを好んで」、高いと見渡しがいいし、それからもう1つは行動の自由があります。下りていってもいいし、先に進んでもいいし、退いてもいいわけです。そういう意味で、まずいいのです。

 それから、陽が当たっていれば太陽のエネルギーを受けることができます。ですから、低いところというのは身動きできない、不自由になってしまいますから、そういうところを嫌がるということは重要です。

 その次の「陽を貴んで陰を賤しみ」とはどういうことかというと、要するに不自由ということです。不自由をなるべく避けたほうがいいと。自由に、動きやすい、行動のしやすいような状況を考えたほうがいいといっており、それが生きる生存力というものを養って、身につけていくということが重要なのです。

 そして「軍に百疾無くんば、是を必勝と謂ふ」ですが、これはなかなか重要なことで、種々の病がなければ必ず勝つということです。これも人生とまったく同じで、どこかに何か病を抱えながら生きているなどということはハンディになりますから、治せるものだったら早く治す。治せない持病であったりしたら、うまく持病と付き合っていくというようなことが重要です。

 これを組織の様態として読めば、組織もいろいろな弱点とか問題点を抱えているものですが、そのまま前へ行くというのは駄目なのです。一度とどまって、あるいはストップをかけて、それで3カ月なら3カ月かけて徹底的に膿を出してしまうことです。そういうことをやらないと、必ず勝つということはできないのです。必勝ということにはなりません。そのように読めばいいと思います。

 次は「丘陵・堤防には、必ず其の陽に處りて、之を右背にす」です。丘とか堤ですが、そういうところでは必ず陽当たりのいいところ、風が強くないところ、そのようなところに好んでなるべくいるようにします。それは「必ず其の陽に處りて」、暖かいところとか有利になるところ、つまりエネルギーがどんどん入ってくるところだからです。

 さらに「之を右背にす」、右を後ろにするということは、いざというときにさっと戦いやすいから...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
『「甘え」の構造』への誤解…甘えはダメなものなのか?
與那覇潤
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(4)決断のかげにあった深い葛藤
情報を基にいかに決断するか…その深い葛藤と「南泉猫を斬る」
門田隆将
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本の財政の真実を検証する(6)「経済成長3つの源泉」の具体策
現代日本で「経済成長3つの源泉」の具体的プランを考えると?
宮本弘曉
中国春秋戦国時代と始皇帝(6)秦の恵文王、昭王、荘襄王の時代
秦による中国統一への道…恵文王、昭王、荘襄王が行なったこと
鶴間和幸
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(1)あらすじと賢治の原稿
未完の長編『銀河鉄道の夜』の魅力と宮沢賢治の思想に迫る
鎌田東二
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
弥生時代の歴史~研究最前線(1)炭素14年代測定法
弥生時代の開始時期を発見した「炭素14年代測定法」とは
藤尾慎一郎