●弱点や問題点を抱えて進んではいけない
次に行きます。「凡そ軍は高きを好んで下きを悪み、陽を貴んで陰を賤しみ、生を養いて實に處(お)る」と。これは前からずっといっていることですが、やはり「高きを好んで」、高いと見渡しがいいし、それからもう1つは行動の自由があります。下りていってもいいし、先に進んでもいいし、退いてもいいわけです。そういう意味で、まずいいのです。
それから、陽が当たっていれば太陽のエネルギーを受けることができます。ですから、低いところというのは身動きできない、不自由になってしまいますから、そういうところを嫌がるということは重要です。
その次の「陽を貴んで陰を賤しみ」とはどういうことかというと、要するに不自由ということです。不自由をなるべく避けたほうがいいと。自由に、動きやすい、行動のしやすいような状況を考えたほうがいいといっており、それが生きる生存力というものを養って、身につけていくということが重要なのです。
そして「軍に百疾無くんば、是を必勝と謂ふ」ですが、これはなかなか重要なことで、種々の病がなければ必ず勝つということです。これも人生とまったく同じで、どこかに何か病を抱えながら生きているなどということはハンディになりますから、治せるものだったら早く治す。治せない持病であったりしたら、うまく持病と付き合っていくというようなことが重要です。
これを組織の様態として読めば、組織もいろいろな弱点とか問題点を抱えているものですが、そのまま前へ行くというのは駄目なのです。一度とどまって、あるいはストップをかけて、それで3カ月なら3カ月かけて徹底的に膿を出してしまうことです。そういうことをやらないと、必ず勝つということはできないのです。必勝ということにはなりません。そのように読めばいいと思います。
次は「丘陵・堤防には、必ず其の陽に處りて、之を右背にす」です。丘とか堤ですが、そういうところでは必ず陽当たりのいいところ、風が強くないところ、そのようなところに好んでなるべくいるようにします。それは「必ず其の陽に處りて」、暖かいところとか有利になるところ、つまりエネルギーがどんどん入ってくるところだからです。
さらに「之を右背にす」、右を後ろにするということは、いざというときにさっと戦いやすいから...