『孫子』を読む:行軍篇
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
平々凡々も大事、慎まなくてはいけないのはヤンチャな行動
『孫子』を読む:行軍篇(2)4つの地形での戦い方:後編
田口佳史(東洋思想研究家)
前回に続き、戦いにおける4つの地形、その環境の具体的な注意点を示し、それらをビジネス戦略や人生の局面に応用する方法を解説していく第2話。川、沼地、平地、そして高地においての戦いの要点が語られているが、広い視野を持つ、優位なポジションを確保するという重要性は大変参考になる。また、平穏なときは危険を避け、安定を重視すべきという教訓も学んでいく。(全6話中第2話)
時間:8分08秒
収録日:2020年10月9日
追加日:2025年1月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●有利なポジションをいかに取っていくか


 そして、「戦はんと欲すれば、水(かわ)に附きて客を迎ふる無かれ」で、本当に戦おうと思ったら、川について敵を迎えるなどということはしてはいけないのです。次の「生を視て高きに處る」は、つまり生きようと思ったら、川というのはなるべくさっと渡って、高いところへ行くことです。

 高いところがなぜいいのかについては2つ要点があり、1つは見渡しが良くみんな見えます。なにしろ敵軍の状況がよく見えたほうがいいわけですから、そういう意味で高いところがいい。それから前にもいったように、高いところは日射しがあればとても(良く)、冬の戦いなどのときには、寒いところに陣がある軍と、暖かいところに陣を張っている軍とでは全然兵力が違って、戦力がまったく違うと、当時はいわれたものなのです。

 ですから、これはどうしても早く高いところに(いくべきということで)、「高きに處(お)る」なのです。

 次は「水流を迎ふる無かれ」で、簡単にいうと、川の中で戦ってはいけないのですが、どうしても戦うというときは、川上から来る敵を川下で受けるなどということは絶対やってはいけないのです。川の流れというものが敵に味方してしまうからです。こちらのほうはハンディキャップがあります。ですから、必ず自分たちが上流の側に回るようにしなければいけないということです。

 これは人生孫子でいえばどういうことかというと、やはり転換というときはいつも、全体的な状況において有利なポジションを取っていくことを心がけ、不利な状態にならないということが非常に重要なのです。

 ですから、転換をうまくやろう、イノベーションをうまくやろうというときには、やはり不利になる状態をしっかり見越して、こういう状態になってはいけないというのを出して、そうならないようにさっとやってしまうことが重要です。「此れ水(上)に處るの軍なり」(は、そういうことです)。


●問題が起きたら小さいうちに解決する


 次は「斥澤(せきたく)を絶(わた)れば」で、これは沼地です。足は取られ身動きできなくなります。「斥澤を絶れば、惟亟(すみや)かに去りて留まる無かれ」です。こういうところはさっと過ぎなければいけない。川というところもさっと引き揚げたほうがいいのですが、中でもこの斥澤の沢と...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(6)秀吉との信頼関係と秀長の軍事能力
文武両道の名将…秀吉に怒られなかったのは秀長と家康だけ
黒田基樹
「進化」への誤解…本当は何か?(3)進化学説史と近代の生物実験
ラマルクの進化論…使えば器官が発達し、それが子に伝わる
長谷川眞理子
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
逆境に対峙する哲学(8)白隠の覚悟
宮本武蔵「型を捨てろ」と「守破離」が教えてくれること
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
新しい循環文明への道(2)都市鉱山のデジタルツイン
都市鉱山のデジタルツイン…金やレアアースの宝庫がわが国に
小宮山宏
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二