『孫子』を読む:行軍篇
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山、川、沼地、平地、4つの地形での戦い方に注意すべし
『孫子』を読む:行軍篇(1)4つの地形での戦い方:前編
田口佳史(東洋思想研究家)
山と水上(川)と沼地と平地、この4つの地形において、それぞれどのような戦い方に注意すればいいのか。『孫子』の9篇「行軍篇」について解説する今回のシリーズ第1話では、まず4つの地形のうち、山と水上(川)での戦い方について学ぶ。(全6話中第1話)
時間:11分20秒
収録日:2020年10月9日
追加日:2025年1月5日
カテゴリー:
≪全文≫

●山、水上(川)、沼地、平地、それぞれの戦い方の違いに注意


 皆さん、こんにちは。今日は、『孫子』を読み進んで、13篇ある中の9篇に行軍篇があり、ここを早速読んでみたいと思います。

 「孫子曰く、凡そ軍を處(お)き敵を相するに、山を絶(わた)れば谷に依る。生を視て高きに處る。隆きに戦ひて登る無かれ。此れ山に處るの軍なり」

 「山に處るの軍なり」というのはどういうことかというと、山で戦うときの注意です。そういうものがあり、ここでは今「山に處る」と。それから次が「水上に處る」、その次が「斥澤(せきたく)に處る」、それから「平陸に處る」ということで平地です。(ちなみに)斥澤というのは沼地、沢などです。

 簡単にいうと、山と水と、それから沼地、そして平坦な土地という、この4つの地形のときの戦い方の注意をしているわけです。

 (さて、)これを人生孫子風にいえば、「山に處る」というのはどういうことかというと、全部うまくいってしまって有頂天になっているような、そういうときの注意事項として読んだらいいと、私は思います。

 それから、次の「水上に(處る)」ですが、とても飛躍して、つまり水上というのは川を渡るという意味ですから、要するに今みたいに転換するときの自分はどのようにしたらいいのかということをいっているわけです。

 そして、「斥澤(に處る)」というのは沼地で、物事にもう何かどうしようもなくなって、要するにうまくいかない。物事が複雑に絡み合って、なんとかそこから抜けたいというときにどうしたらいいのかということです。

 それからもう1つ(「平陸に處る」)は、順風というか、何も問題もなく進んでいるときです。そういうときでも、注意しなければいけないというのです。

 この4つの注意をしているのだと、このようにして読んだほうが意味があるのではないかということです。


●全体を俯瞰して、状況がいいときこそ慎重に


 ですから、「山に處る」のところをちょっと読んでみたいと思います。

 「凡そ軍を處き敵を相するに」で、凡そ軍を處きというのは、宿営をして、それで敵はどういう状態かということです。この「相」という字ですが、「みる」ということにおいては、たくさん「みる...

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