孫子と統帥綱領でウクライナ侵略を読む
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
財政こそ国防である…効果なき経済制裁を糺さねば無責任だ
孫子と統帥綱領でウクライナ侵略を読む(2)「七計」と日本の態度
戦争の勝敗を決めるものは何か。『孫子』にそれは「七計(七つの基準)」として明確に書かれている。その基準に照らし合わせると、なぜロシアがウクライナ侵攻を始めたのかという背景が見えてくる。そして、この問題に対して日本が取るべき態度を提示する。(全4話中2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:12分28秒
収録日:2022年4月27日
追加日:2022年6月5日
≪全文≫

●大多数から支持を得る国家ビジョンがあるか


田口 『孫子』の次の項目に「之を校するに計を以てし(敵と味方の状態を基準に照らして比較して)」とあり、「七計(七つの基準)」が出てきます。

 それも「主孰れか有道なる(敵と味方の君主のどちらが人心を得ているか)」から始まります。これはとても重要で、要するに国家に対する思い(どのような国家にしたいか、どのような国を目指してトップリーダーをしているのか)について、敵と味方のどちらのトップの思いが強いかということを言っているのです。

 また「有道」の「道」は、道義のことです。つまり、人の道にどちらが合っているのか。人の道に合っていなければ、うまくいかないことに対する共鳴・共感性がないので、徹底的に孤軍奮闘になってしまう。この「有道」という言葉を見ただけで、この漢字一文字の意味から考えても、道義・道理がなければ人が離れて孤軍奮闘になるのだと分かるのです。

―― なるほど。

田口 そういった意味では、国家のトップは地球上のかなりの人間から共鳴・共感を寄せてもらえるほどの国家ビジョンがなければやっていけないことを悟らなければいけない、と言っているのです。

 その意味でいえば、日本は世界中の人が感心してしまう国なのか。ちなみに横井小楠(幕末維新期の思想家、政治家。熊本藩士)は日本を何と言ったかというと、「世界の民の幸せのお世話係」です。これだけで十分でしょう。

―― はい。

田口 世界の民の幸せのお世話係に徹している国として、「何か問題があったら言ってください。すぐ駆けつけます」と。日本をそのような国家にしようと思ってやってきた。そのような、ひと言でパッといえて皆が感心してしまうようなものは何かあるのか、ということをここで言っているわけですね。


●問われるリーダーの能力と天の時・地の利


田口 次の「將孰れか有能なる(どちらの将が有能か)」ですが、将軍の位で初めて能力があるかどうかという能力が問われるのです。

 そして「天地孰れか得たる(天や地はどちらに味方しているか)、法令孰れか行はるる(法令はどちらかしっかり行われているか)」。「天地孰れか」とは「天の時、地の利(天の好機、地の有利な条件)」です。...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦