ウクライナ戦争に揺らぐ国際秩序
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
想定すべきは台湾有事、ウクライナ危機から学ぶべき教訓
ウクライナ戦争に揺らぐ国際秩序(4)ウクライナ戦争の教訓
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
ロシアのウクライナ侵攻が深刻化する中、アメリカを中心としたNATO(北大西洋条約機構)は、第三次世界大戦へ発展することを恐れて軍事行動を避けている。しかし、ロシア軍の侵略は激しさを増し、民間人も巻き込まれるなど、状況は日々悪化している。こうした事態を前に、私たちは今どうすべきなのか。(全4話中第4話)
時間:12分46秒
収録日:2022年4月1日
追加日:2022年5月20日
カテゴリー:
≪全文≫

●第三次世界大戦を恐れて思考停止に陥ってはいけない


 皆さん、こんにちは。

 とりわけ現代のウクライナ戦争の問題点は、アメリカをはじめとしたNATOの国々が、第三次世界大戦への道を歩まないために、軍事行動は起こさないことを今の段階ではっきりと言い切ったことではないかと思います。

 この理屈、すなわち第三次世界大戦への道は、本当に現実的にあり得るシナリオなのかどうかを考える必要があります。もちろんあらゆる可能性は想定されるべきなので、第三次世界大戦への道を歩むことを全く排除することはできないと思います。あらゆる可能性は当然想定されるべきであり、排除されるべきではありません。

 ロシアがいわば大義無きウクライナ戦争に突き進んでいるのは確かです。他方で、ロシアがこれから訪れる苦難や困難な状況を打開するために、大量破壊兵器を本当に使う場合、使用後の未来を現実に予測することができているのかどうかは、ロシアの国家としての一つの大きな課題になります。つまり、ロシアは未来の自国のあり方や、自国の信頼性や存在感を全く最初から無視して、核の使用や戦争を考えるのかどうかという問題があります。こうしたことについて、ロシアは国家として、理性的あるいは現実的に予測しなければいけません。

 そうでなければ、問題はプーチンの心理と病理に関わるだけになってしまいます。一方的にプーチンがハードルを上げた要求に対して、全て屈しなければならないという理屈になります。私たちはプーチンが上げたハードルに対して、どう対抗していくのかという理屈と構えを、これから考えなければなりません。第三次世界大戦が起こり得るから、あるいは起こるからという理屈の先に来るのは、「だからプーチンの言うことは全部聞かなければならない」という恐ろしい理屈になります。

 第三次世界大戦は世界最終戦争を意味することになります。したがって、ロシアという国家にしても、プーチンの病理的な決断に、専門職としてのロシア軍の合理的な判断がどう関わるのかを問題にしなければなりません。こうした「エスカレーションのジレンマ」に予めはまろうとするのは、多様な選択肢とロシアへの要求を自ら放棄することに同意することになります。これは政治家、職業外交官、あるいは軍人としての職業的な責任や倫理を自ら放棄することにつながらないだろうかと私は考えています...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
国際地域研究へのいざない(1)地域研究の意味とイスラエル研究
なぜ経済学で軽視されてきた「地域研究」が最高の学問なのか
島田晴雄
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(19)橋爪大三郎先生のリベラルアーツ論
【10min解説】橋爪大三郎先生:AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(7)自分の人生のために
AI時代こそAIでなく「生きた学び」で自分の人生を膨らませる
橋爪大三郎
知られざる「脳」の仕組み~脳研究の最前線(1)脳科学と「ミクロのマクロの隔たり」
脳が生きている、死んでいるとは?最新研究で迫る脳の秘密
毛内拡
地政学入門 歴史と理論編(7)戦争を起こさないための地政学
トゥキディデスの罠の教訓…大事なのは戦争回避の4ケース
小原雅博
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(4)注目されるタスクベース・アプローチ
AIは「まあまあの技術」?…タスクベース・アプローチでわかること
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
福田恆存とオルテガ、ロレンス~現代と幸福(3)「大衆化」とは何か
『大衆の反逆』でオルテガが指摘した「大衆化」の問題とは
浜崎洋介
50代からの親の介護~その課題と準備(1)突然やってくる介護の問題
「親の介護」の問題…優しさだけでは続かない
太田差惠子