ウクライナ戦争に揺らぐ国際秩序
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
プーチンの核恫喝で生じた「エスカレーションのジレンマ」
第2話へ進む
「ウクライナの悲劇」について考えるための3つの観点
ウクライナ戦争に揺らぐ国際秩序(1)ウクライナの悲劇と祖国防衛戦争
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は今なお続いており、終戦の目途は立っていない。ロシア国内でも戦争に反対する多くの市民が声をあげ、デモを行う様子が報道されている一方で、一部のアスリートたちはプーチンを支持する発言を繰り返している。ではこの問題について、私たちはどう考えればいいのか。3つの観点を挙げて考えてみたい。(全4話中第1話)
時間:10分29秒
収録日:2022年4月1日
追加日:2022年4月29日
カテゴリー:
≪全文≫

●ロシア軍のウクライナ侵攻を3つの観点から考える


 皆さん、こんにちは。

 少し前に私は、ウクライナ戦争が起きる前に、ウクライナにおいて危機が生じること、そして今現在のウクライナの非常にクリティカルな様子とは、斯く斯くであることをお話したと思います。

 当時の日本においてはかなり例外的ですが、私は大変ペシミスティック(pessimistic、悲観的)に現実を見ていました。しかしながら今考えてみると、そうした私の悲観的な見方でさえも、少し楽観的であったのではないかと思わざるを得ません。私たちは現在、非常に悲観的かつ悲劇的な事態がウクライナの人びとを襲っていることを目の当たりにしています。ここから話を始めたいと思います。

 2022年3月20日時点のデータですが、ウクライナの国内外に逃れた難民の数は、1000万人を超えました。これはウクライナの人口がおよそ4200万人であることを考えると、4分の1の人びとが難民と化したことになります。彼らは、ごくありふれた当たり前のものだと思っていた平和と日常の光景を一夜にして奪われてしまいました。

 中東などをみると、このような変容は大変珍しいことではありませんでしたが、改めてこのウクライナの悲劇をみるとき、私たちは中東の人びとを恒常的に襲っている悲劇と辛い現実に思い致さざるを得ません。

 ウクライナ人の陥っている苦難について、まさにわが身を切られる思いで受け止めている日本人も多いと思います。私たちはその際、最初にこの問題について考える手がかりを3つの観点から捉えて、さらに深めていけたらと思います。

 第一は、一般の市民の生命を無差別かつ無慈悲に奪うロシアのプーチン大統領の非常に非人道的な、残酷といってもいい政治手法です。これがまずロシア軍のウクライナ侵略で露呈した第一の点です。

 第二は、ヨーロッパの地域についてです。これは戦争が行われる、あるいは行われている潜在的な戦域ということもできるかと思います。このヨーロッパ地域における核兵器の使用をプーチンが示唆したという大変重要な点は、私ども被爆国の市民としては、大変気になることです。

 第三は、そもそもこうした状況を客観的に見るだけではなくて、日本そのものがどういう立ち位置にあるのかです。今回のウクライナ戦争でロシアとNATOが対立している中で、日本はいかにこの戦争の悲劇を見て、わが教訓とす...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(3)水戸藩の問題と安政の大獄
安政の大獄は失政!?…井伊直弼は何を見誤ったのか
山内昌之
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
デカルトの存在論に学ぶ(1) 「我思う、ゆえに我在り」
「我思う、ゆえに我在り」はデカルトの専売特許ではない
津崎良典
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
『江戸名所図会』で歩く東京~日本橋 (1)日本橋に見る徳川家康の手腕
徳川家康と江戸の町づくりー江戸時代の「日本橋」の姿とは
堀口茉純
ギリシア悲劇への誘い(7)ギリシア悲劇を論じた歴史
アリストテレス、ニーチェ…哲学者によるギリシア悲劇批評
納富信留
原因と結果の迷宮~因果関係と哲学(6)不在因果の問題
不作為(◯◯しなかったこと)の原因は無限に拡散する
一ノ瀬正樹