ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国
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出稼ぎかテロリストか…旧ソ連諸国からの労働移民の現実
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(6)狭間の政治学で考える旧ソ連諸国
廣瀬陽子(慶應義塾大学総合政策学部教授)
いまだ予断を許さないロシア・ウクライナ戦争。その今後を展望するためには、旧ソ連諸国がいかに生き残っていくかを考える「狭間の政治学」という視点が重要だ。タジキスタン、ウズベキスタン、キルギスなどの小国は、大国といかにバランスを保ち外交していくべきなのか。親ロシア地域の台頭で脅威が迫るモルドヴァなど、旧ソ連諸国の現状と課題を解説する。(全7話中第6話)
時間:16分53秒
収録日:2024年7月25日
追加日:2024年10月23日
カテゴリー:
≪全文≫

●小国の生き残り方に着目する「狭間の政治学」


 そして、ここからはなかなか日本のメディアでは扱わない旧ソ連諸国のことを考えていきたいのです。

 旧ソ連諸国は、ユーラシアに所属している国々になりますけれど、ユーラシアを見ていく上では、「狭間の政治学」と私が呼んでいる考え方が重要になります。大国間で小国、つまり旧ソ連諸国がいかに戦略的に生き残るかというところなのです。

 そこで重要になってくるのは、いかにいい輸送ルートを獲得するか。また資源があるか、ないかです。資源があればいい。なくても、輸送ルートが国に走っていればよい。何もないとけっこう厳しいということなのです。

 また、水資源問題です。中央アジアが今、深刻なのですけれど、これをロシアが利用する可能性が高まっています。

 また、経済も問題です。これもロシアが利用しているところでありますし、このウクライナ戦争が拡大する陰で、イスラム勢力がどんどん成長しているということもあります。これはテロが最近多くなっている影の理由でもあるわけです。

 ユーラシアの中でも、ロシア語が残存している国ほどロシアとの関係は深いということになります。また、旧ソ連諸国は、けっこう権威主義が多いのです。権威主義国ほどわりとロシアと親和性があり、そしてソ連ノスタルジーも持っているという傾向があります。

 そして、こういう国とロシアとの関係なのですけれど、わりと戦争が始まってすぐは、旧ソ連諸国がロシアを馬鹿にしているのではないかということが、けっこう日本の報道でいわれていました。例えば、アルメニアのパシニャン首相は、プーチン大統領にいろいろものを言うであるとか、写真を撮るときにプーチンと距離を取るとかです。

 これは旧ソ連諸国の国々がウクライナとの戦争で苦戦しているロシアを見て、そんなに強くないではないか、馬鹿にしているのではないか、ということをいわれたわけなのですけれど、ちゃんと見ますと、ロシアと旧ソ連の関係はそんな単純なものではないのです。

 今回の戦争の中で、ロシアの影響力が弱まった部分と強まった部分があります。政治的、軍事的にはたしかに弱まったといいますけれど、経済的にはむしろ強くなりました。そして、ロシアの脅し力はむしろ強くなった...

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