ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
白物家電を軍事転用!?…深刻な「制裁の抜け道」問題
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(4)制裁の効果と抜け道の問題
廣瀬陽子(慶應義塾大学総合政策学部教授)
ウクライナへのハイブリッド戦争を繰り広げるロシアにとって誤算だったのは、ヨーロッパの国々からの強い制裁である。しかし、ロシアはその制裁に対し、これまでの通商の姿勢を変えて厳しい状況に順応し、国力を維持させている。これは制裁の効果はあるが、ロシアにはそれが響いていないことを意味する。そこには制裁の抜け道があるからだ。どういうことなのか。具体的に並行輸入やデュアルユース品といった抜け道を駆使するロシアの動きを解説する。(全7話中第4話)
時間:9分44秒
収録日:2024年7月25日
追加日:2024年10月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●ロシアにとって誤算だった制裁


 このように、ロシアはハイブリッド戦争を展開しつつ今の戦争を繰り広げているわけなのですが、ロシアにとって痛いのは制裁になってまいります。ロシアは、ここまで制裁が行われるとは、おそらく想定していなかったと思われます。というのは、ロシアはこれまでプロービング、いわゆるいろいろなことを試して、どこまでやったらどのような対抗手段をとられるのかというところを見ながら、もっとも痛手が少ないところで、もっとも多くの利得を得るというようなことをやってきました。

 そういう中で、2008年のジョージア戦争をやっても、2014年のクリミア併合をやっても、そんなに大きな制裁はなかったのです。なので、ウクライナに攻め込んでもそんなにたいしたことはないだろうと思ったと思われます。

 特にロシアはヨーロッパに非常に多くのエネルギーを供与していました。特に天然ガスは、ヨーロッパの対ロ依存率が約4割だったのです。ですので、ヨーロッパにとってもエネルギー安全保障の観点からロシアに制裁をするわけがないだろうと高をくくっていた可能性はきわめて高いわけなのですが、今回は違っていたわけです。

 最高レベルの制裁が行われ、ハンガリー、スロバキアなどの例外はありますけれど、ほとんどのヨーロッパの国々がロシアからもはやエネルギーは買わないということになり、そしてSWIFTからの排除というような形です。ロシアは最高レベルの制裁を受けることになってまいります。


●ロシアが見せた制裁への順応


 では、この制裁、効いているのかということなのですが、結論からいうと、あまり効いていないというより、ロシアはそれに順応してきてしまったということがあるわけです。

 例えば2022年、戦争が始まった年ですが、この年、ロシアは多くの制裁を受けたにもかかわらず、ロシアは前年度よりも多くのエネルギー収入を得ることができていました。なぜかというと、ヨーロッパなどで売れなくなったわけですが、その分、安く、多く、他の国に売ったのです。

 特に、その安いエネルギーを大量に買ったのが中国、インドなどになります。インドに至っては、戦争前より22倍の大量のエネルギーを買っていたわけなのです。インドなどはそれをさらに精製して、ヨーロッ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIは間違いが分からない…思考で大事なのは訂正可能性
中島隆博
歌舞伎はスゴイ(4)歌舞伎のサバイバル術(後編)
江戸時代の歌舞伎にも大波乱が…どうやって生き残ったか
堀口茉純
「進化」への誤解…本当は何か?(6)木村資生の中立説
欧州では不人気…木村資生の中立説とダーウィンとの違い
長谷川眞理子
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
株価と歴史…トランプ関税の影響を読む(2)株価リターンの歴史から考える
株式リターンの歴史検証…大きな構造変化の影響を見抜く
養田功一郎
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝