歴史から考える「ロシアの戦略」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
規範違反を繰り返すロシア…国際社会が果たすべき役割とは
歴史から考える「ロシアの戦略」(7)今後のロシアと国際社会
政治と経済
山添博史(防衛研究所 地域研究部 米欧ロシア研究室長)
プーチン政権が戦争を続ける目的が何なのか。2022年に始まったウクライナへの軍事侵攻は、ロシアにとってはもはや引くに引けない状況になっている。今後もその状況は続きそうだが、そこで問われるのが国際社会の姿勢である。硬直化するロシアの体質と、それを取り巻く、日本を含めた国際社会の振る舞いを考える。(全7話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分24秒
収録日:2024年1月18日
追加日:2024年4月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●戦争を続けざるを得ないロシアの状況


―― 今まで、ロシアのいろいろな戦略の歴史を見てまいりました。強いところとはやらないで、弱いところにはなるべく拡張していきたいと考える、というような行動形態も教えていただきました。こういう歴史を見てきて、これから先を見通すとどういうことが起こりそうなのですか。

山添 ロシアのプーチン政権が戦争を継続する目的が何なのかということが問題になると思います。2022年2月の段階では、ウクライナ全体を獲りたいということで、キエフを獲ってしまって、そこに傀儡政権を置くとかそういうことを目指していたと思います。本格的な戦争をするつもりはなくて、「特別軍事作戦」ということをやり遂げるだけで、本格的な軍事作戦の準備は要らないと思っていたと思います。

 それに失敗して、キエフ周辺から退いて、そこから後で、やっとウクライナ東部のドンバス地方の占領地の拡大ということをやっていったわけです。つまり、そこでやっと領土拡張の話になっていきました。

 それ以前は、ウクライナは弱くてバイデン政権も本気で介入はしてこられないという読みをしていました。つまり、ウクライナは弱いから勝てると見込んで仕かけたのが、それに失敗した後は、ウクライナが本気で自衛の戦争をしているので、ロシアも仕方なく本気で戦争にしないといけないというように変わってきました。

 こうなってくると、プーチンがもともと掲げていた目的のうち、ウクライナ東部のルハンスク州、ドネツク州の2つの州の住民を守るということを実現しないといけません。これは分かりやすい最小限の条件だと思います。

 それをやり遂げた後は、ザポリージャ州とへルソン州もロシア連邦の領土だと主張していて、そこの領土の一部は、ロシアがかつて支配したことがない場所です。それも達成しないと終われない状況に今、ロシアはなっているのではないかと思います。

 ロシアにとっての一定の領域を確保できたとしても、加えて、ウクライナの政権がNATOに入らず、敵対的でなく、ナチスではなくなったということを主張できるようにしないと、目的を達成したとはいえません。だから、今のロシアにとって、それが達成可能な目標として目の前に見えているとは思えないのです。ですので、ロシアにとっても止まれない状況がずっと続くと思...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
政治学講座~選挙をどう見るべきか(1)選挙の意味
選挙と政治権力…「選挙に勝つ」とはどういうことか?
曽根泰教
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
「新しい資本主義」の本質と課題(1)新自由主義と『21世紀の資本』
新自由主義からの時代背景から「新しい資本主義」を問う
柳川範之
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一

人気の講義ランキングTOP10
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(2)外交と軍事のバランス
外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?
小原雅博
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
数学と音楽の不思議な関係(3)音と三角関数とフーリエ級数
フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる
中島さち子
編集部ラジオ2025(20)納富信留先生の「アカデメイア」講義
プラトンのアカデメイアからテンミニッツ・アカデミーへ
テンミニッツ・アカデミー編集部
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(2)ヒトの子育てと脳の関係
チンパンジーは乱婚、ヒトは夫婦…人間の特殊性と複雑性
長谷川眞理子
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
「集権と分権」から考える日本の核心(4)荘園発生から武家の時代、王政復古へ
武士が推進した“私”の増殖…中央集権はいかに崩れたか
片山杜秀
『江戸名所図会』で歩く東京~上水と十二社(1)「水の都」江戸の上水道
玉川上水の歴史…約8カ月で完成?玉川兄弟の功績とは
堀口茉純