歴史から考える「ロシアの戦略」
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規範違反を繰り返すロシア…国際社会が果たすべき役割とは
歴史から考える「ロシアの戦略」(7)今後のロシアと国際社会
山添博史(防衛研究所 地域研究部 米欧ロシア研究室長)
プーチン政権が戦争を続ける目的が何なのか。2022年に始まったウクライナへの軍事侵攻は、ロシアにとってはもはや引くに引けない状況になっている。今後もその状況は続きそうだが、そこで問われるのが国際社会の姿勢である。硬直化するロシアの体質と、それを取り巻く、日本を含めた国際社会の振る舞いを考える。(全7話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分24秒
収録日:2024年1月18日
追加日:2024年4月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●戦争を続けざるを得ないロシアの状況


―― 今まで、ロシアのいろいろな戦略の歴史を見てまいりました。強いところとはやらないで、弱いところにはなるべく拡張していきたいと考える、というような行動形態も教えていただきました。こういう歴史を見てきて、これから先を見通すとどういうことが起こりそうなのですか。

山添 ロシアのプーチン政権が戦争を継続する目的が何なのかということが問題になると思います。2022年2月の段階では、ウクライナ全体を獲りたいということで、キエフを獲ってしまって、そこに傀儡政権を置くとかそういうことを目指していたと思います。本格的な戦争をするつもりはなくて、「特別軍事作戦」ということをやり遂げるだけで、本格的な軍事作戦の準備は要らないと思っていたと思います。

 それに失敗して、キエフ周辺から退いて、そこから後で、やっとウクライナ東部のドンバス地方の占領地の拡大ということをやっていったわけです。つまり、そこでやっと領土拡張の話になっていきました。

 それ以前は、ウクライナは弱くてバイデン政権も本気で介入はしてこられないという読みをしていました。つまり、ウクライナは弱いから勝てると見込んで仕かけたのが、それに失敗した後は、ウクライナが本気で自衛の戦争をしているので、ロシアも仕方なく本気で戦争にしないといけないというように変わってきました。

 こうなってくると、プーチンがもともと掲げていた目的のうち、ウクライナ東部のルハンスク州、ドネツク州の2つの州の住民を守るということを実現しないといけません。これは分かりやすい最小限の条件だと思います。

 それをやり遂げた後は、ザポリージャ州とへルソン州もロシア連邦の領土だと主張していて、そこの領土の一部は、ロシアがかつて支配したことがない場所です。それも達成しないと終われない状況に今、ロシアはなっているのではないかと思います。

 ロシアにとっての一定の領域を確保できたとしても、加えて、ウクライナの政権がNATOに入らず、敵対的でなく、ナチスではなくなったということを主張できるようにしないと、目的を達成したとはいえません。だから、今のロシアにとって、それが達成可能な目標として目の前に見えているとは思えないのです。ですので、ロシアにとっても止まれない状況がずっと続くと思...

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