歴史から考える「ロシアの戦略」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
南オセチア、クリミア…なぜプーチンは実力行使をするのか
歴史から考える「ロシアの戦略」(6)プーチンのロシア
山添博史(防衛研究所 地域研究部 米欧ロシア研究室長)
プーチンは大統領就任当初、大国との協調姿勢を示していたが、その後、軍事力を背景にした実力行使へと方向転換することになる。それはなぜか。分岐点は2008年のジョージア問題にある。ジョージア内での紛争をおさめたロシアの経験がやがて2022年ウクライナへの軍事侵攻へとつながっていくことになる。今回はプーチン率いるロシアのこれまでの歩みをたどりながらその政治的思惑に迫る。(全7話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分32秒
収録日:2024年1月18日
追加日:2024年3月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●大国との協調から実力行使へ――分岐点は2008年ジョージア問題


―― そこもロシアであるというイメージですね。そのような中で、今のプーチン大統領につながってくるというところだと思うのですけれど、プーチン大統領のこれまでの歩みはどう見ていらっしゃるのですか。

山添 プーチンは2000年に初めて大統領になります。当時も、1999年からのチェチェンに対する軍事作戦でかなり強硬なこともやってはいたわけで、外から批判を受けるようなこともやっていたのです。ただ、例えば2005年の大統領教書演説の内容の全体を見ていると、プーチンは「ロシアはこれまで、民主的に自由を求めて300年も発展していたのだから、その道を続けるのだ」と言っています。「自由はロシアにはなじまない」というような意見に私は与さない、それは反対をするということです。

 これは、ナチスドイツとの戦いでイギリスやアメリカやフランスと共同で勝ち取った、自分たちの国の功績を思い起こして、彼ら大国と協調していくのだということで、それは自分たちの民主的発展、近代的発展の道だといっているのです。その一部に、「ソ連の解体は地政学的な悲劇だった。ソ連に戻ることはしないが、それで苦しんだ人々もいる。今、旧ソ連地域の中で、ロシアではなくなった国々の中で不当に扱われているロシア系住民がいる、これは問題である」ということを言っています。

 つまり、イギリス、アメリカなど大国と協調して、ロシアも民主・自由の国として発展させる。かつ、ロシアは声をあげて、旧ソ連諸国のロシア系住民の権利を守りたい。というような願望も見えているわけです。ただ、そのために軍事力でも何でも使いますとは言っていないし、実際にそこから後の政治を見ても、そのようには動いていないのです。

―― それがなぜ今に至ったのかというところなのですが、それはどういう過程ですか。

山添 大きかったのは2008年だと思います。2008年はジョージアの問題がありました。ジョージアの中で紛争地域があったわけです。

 アブハジアと南オセチアというところなのですけれど、南オセチアという紛争地域に対して、ジョージアが支配権を取り戻そうという紛争があって、ロシアがそれに関わって軍事力を行使しました。ジョージア領内に軍を進めたというのは、初めてロシアが国境外に軍を進め...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
MAGA内戦、DSAの台頭…過激化が完了した米国の現在地
東秀敏
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
MAGA内戦、DSAの台頭…過激化が完了した米国の現在地
東秀敏
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(2)プロテスタントと「予定説」
カトリックとプロテスタントの違いは?「救済予定説」とは?
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝