歴史的に考えるウクライナ問題とロシア
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
20世紀以降、世界史を転換させたロシアによる四つの大事件
歴史的に考えるウクライナ問題とロシア(2)近現代ロシアの「正負の教訓」
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
政治家プーチン氏が歴史家として祖国を語るとき、そこにはロシア国民が共有するいくつもの体験や印象が投影される。ロシアの近現代は、日露戦争に次ぐ革命という負の体験からの出発である。ユーラシアの理想を掲げ、軍事行動にやすやすと移行するプーチン氏の現在は、フィンランドとの冬戦争時のスターリンの姿に重なる。(全5話中第2話)
時間:14分27秒
収録日:2022年5月24日
追加日:2022年7月14日
≪全文≫

●政治家としてのプーチン氏が歴史や文明論を語るとき


 皆さんこんにちは。

 政治家としてのプーチン氏、あるいは知識人としてのプーチン氏、彼は歴史家としてのプーチン氏として語ることがあります。しかし、政治家としてのプーチン氏が、文明論を語り歴史を語るプーチン氏と重なったときには、ある種の危険性、特に軍事的行動に関する発言がなされ、実現された場合、その軍事行動の正当性や違法性をどのように世界に対して弁明するのかという問題が、当然に生じるわけです。

 ところが、プーチン大統領はこの点に関しては実に寡黙です。彼は今回のこの戦争について(そもそも戦争という名称を使っていないのですが)、こういう一方的な侵略、戦争の正当性、違法性の如何について、世界に対して語ることは全くないのです。

 国連安保理(国連安全保障理事会)として、本来であれば世界平和を担保し、紛争を除去し、起こり得る戦争や不安定を未然に防ぐ義務を負っていますが、しかしその安保理の常任理事国のロシアが毎回やっていることとしては、拒否権の行使や自らの戦争責任の否定に終始しているのが現実です。

 ヨーロッパやアジアの区分も違いも超越した独特なユーラシア国家として、文明論的な使命を彼が持つのは自由です。しかし、そういう使命を持つからといって、それを軍事的に達成しようということになれば、話は全く別ものになります。これは平和論、あるいは安全保障論の観点からして、まことに由々しいことです。


●ロシアが20世紀以降に経験した四つの転換点


山内 ここで20世紀以降ロシアの経験した、世界史を大きく転換させることになった四つの事件、四つの大きな変化について、今回のウクライナ侵攻との関連で少し触れてみたいと思います。

 その第一は、ロシアが1904年から1905年にかけて行った日露戦争であり、日露戦争における敗戦体験です。この体験は、その後の同じ時期の第一次ロシア革命に続きます。これによってロマノフ朝は大きく揺らぎ、1914年に始まった第一次世界大戦の途中における1917年の二つのロシア革命によってロマノフ朝のロシア帝国は解体します。それにかわって世界史で初めての社会主義国家としてのロシア(ソビエト連邦)が、史上初めて登場したということになります。

 第二は独ソ戦、すなわち世界史的には第二次世界大戦と呼ばれる大きな戦(いくさ)です...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(5)否定神学とラカン理論の限界
暴いてはいけない!?心を理解する上で重要な「否定神学」とは
斎藤環
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(6)リベラルアーツの本質
自分にしかできない自分の世界を味わうために、他の人とつながる
橋爪大三郎
編集部ラジオ2026(19)橋爪大三郎先生のリベラルアーツ論
【10min解説】橋爪大三郎先生:AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
飽食時代の「選食」のススメ(1)選食の提唱と「食の多様性」
肥満、認知症、低栄養…飽食の時代に大事な「選食力」3カ条
堀江重郎
生活習慣病予防に~健診結果の正しい読み方(1)データから生活習慣を考える
内臓脂肪がなぜ増えた?データから考えるリスクファクター
野口緑
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
三つの建国――その歴史的背景から迫るアメリカの原点
中西輝政