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「將は國の輔なり」――勝つリーダーに不可欠の条件とは?

孫子と統帥綱領でウクライナ侵略を読む(4)「一致団結」とリーダーの役割

概要・テキスト
「統帥綱領」と『孫子』を読むと、戦争がはじまったときのリーダーや政治の役割など、重要事項がいくつも書かれてある。その中で大変重要なポイントが「一致団結」であると田口氏は言う。それを踏まえると、ウクライナ侵攻におけるロシアのやり方、その拙さが問題点として一層浮かび上がる。日本は大丈夫か。実はかつて日本には一致団結しやすい素地があった。(全4話中4話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:12:01
収録日:2022/04/27
追加日:2022/06/19
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≪全文≫

●「統帥綱領」の教え――戦争時、政治は作戦の成功をサポート役


田口 そのように「統帥綱領」を読んでいくと、二番に「政略指導の主とするところは、戦争全般の遂行を容易ならしむるにあり」とあります。要するに、政治の戦略として何をしなければいけないかというと、「戦争全般の遂行を容易ならしむ」ことなのです。

 簡単にいうと、今、ロシアの外交は、今回のロシアの侵攻に対して「このような理由があって行った」「こういうことを理解していただきたい」と、世界中に外交官が行って徹底的に説明していますか、理解を求めていますか、ということです。

―― なるほど。

田口 つまり、政治が外堀を埋めてくれなければいけないということを、まず言っているのです。したがって、戦争というものは政治が重要で、軍隊が縦横無尽に動けるようにどの程度の味方を増やしてくれているかに尽きる、ということをここで述べているのです。

「故に、作戦はこれと緊密なる協調を保ち、」。政治と戦略について、よく「政治が作戦など知らなくていい。作戦は軍人のものだ」といわれるのですが、そうではありません。口出しはしないほうがいいけれど、きちんと知っていることは重要で、そのような互いの連絡会議、あるいは共通の情報をもとにして動いていることが重要だと述べています。

「殊に赫々たる戦勝により、政略の指導に威力ある支トウ(手偏に掌)を得しむること肝要なり」。少しうまく事が運ぶと、互いに、政治は「あれは俺がやったからだ」と言い、軍隊は「いや、軍事力があったからだ」となってくる。そういったものをピタッと抑えるのがトップリーダーの役割で、「どちらのおかげでもない。両方のおかげだよ」ということを常に言わなければいけない。それに基づく論功行賞のあり方や発言も、両方を立てることを考えなければいけない、といっているのです。

「然れども、作戦は元来戦争遂行のため最も重要な手段たるをもって、政略上の利便に随従することなきはもちろん、」。その作戦をまったく変えざるを得ないような、「政治として現在このような外交交渉をしているから、この作戦はやめてくれ」などと言うことはいけない。戦争が始まったならば必ず作戦が先行し、政治はあとから作戦の成功をサポートする役目であり、この位置づけは明確だ、といっているわけです。こうい...
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