孫子と統帥綱領でウクライナ侵略を読む
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「將は國の輔なり」――勝つリーダーに不可欠の条件とは?
孫子と統帥綱領でウクライナ侵略を読む(4)「一致団結」とリーダーの役割
「統帥綱領」と『孫子』を読むと、戦争がはじまったときのリーダーや政治の役割など、重要事項がいくつも書かれてある。その中で大変重要なポイントが「一致団結」であると田口氏は言う。それを踏まえると、ウクライナ侵攻におけるロシアのやり方、その拙さが問題点として一層浮かび上がる。日本は大丈夫か。実はかつて日本には一致団結しやすい素地があった。(全4話中4話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:12分01秒
収録日:2022年4月27日
追加日:2022年6月19日
≪全文≫

●「統帥綱領」の教え――戦争時、政治は作戦の成功をサポート役


田口 そのように「統帥綱領」を読んでいくと、二番に「政略指導の主とするところは、戦争全般の遂行を容易ならしむるにあり」とあります。要するに、政治の戦略として何をしなければいけないかというと、「戦争全般の遂行を容易ならしむ」ことなのです。

 簡単にいうと、今、ロシアの外交は、今回のロシアの侵攻に対して「このような理由があって行った」「こういうことを理解していただきたい」と、世界中に外交官が行って徹底的に説明していますか、理解を求めていますか、ということです。

―― なるほど。

田口 つまり、政治が外堀を埋めてくれなければいけないということを、まず言っているのです。したがって、戦争というものは政治が重要で、軍隊が縦横無尽に動けるようにどの程度の味方を増やしてくれているかに尽きる、ということをここで述べているのです。

「故に、作戦はこれと緊密なる協調を保ち、」。政治と戦略について、よく「政治が作戦など知らなくていい。作戦は軍人のものだ」といわれるのですが、そうではありません。口出しはしないほうがいいけれど、きちんと知っていることは重要で、そのような互いの連絡会議、あるいは共通の情報をもとにして動いていることが重要だと述べています。

「殊に赫々たる戦勝により、政略の指導に威力ある支トウ(手偏に掌)を得しむること肝要なり」。少しうまく事が運ぶと、互いに、政治は「あれは俺がやったからだ」と言い、軍隊は「いや、軍事力があったからだ」となってくる。そういったものをピタッと抑えるのがトップリーダーの役割で、「どちらのおかげでもない。両方のおかげだよ」ということを常に言わなければいけない。それに基づく論功行賞のあり方や発言も、両方を立てることを考えなければいけない、といっているのです。

「然れども、作戦は元来戦争遂行のため最も重要な手段たるをもって、政略上の利便に随従することなきはもちろん、」。その作戦をまったく変えざるを得ないような、「政治として現在このような外交交渉をしているから、この作戦はやめてくれ」などと言うことはいけない。戦争が始まったならば必ず作戦が先行し、政治はあとから作戦の成功をサポートする役目であり、この位置づけは明確だ、といっているわけです。こうい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
逆境に対峙する哲学(8)白隠の覚悟
宮本武蔵「型を捨てろ」と「守破離」が教えてくれること
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
平和の追求~哲学者たちの構想(2)世界市民と国家連合
「コスモポリタニズム」の理想と「国家連合」というプラン
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ