冷戦終結後に減少していた「クーデター」。しかし、2019年以降、再び増えだしているといいます。その背景には、中国やロシアなど「権威主義」の国々とアメリカとの対立、さらに「ワグネル」など民間軍事会社の暗躍などがあります。
『クーデター―政権転覆のメカニズム』(中公新書、2025年)を発刊された上杉勇司先生は、クーデターは「政権の権力者を一撃で交代させる行為」であり、「担うのは支配階級に属する一派」だと指摘します。そのようなクーデターを考えていくと、国際政治の様々な様相や、国内政治のバランスなど「政治の要点」が、まざまざと浮き彫りになってきます。はたして、どのようなことなのか。そのポイントを、今回の編集部ラジオでは紹介します。
今回の上杉先生の講義では、「台湾でクーデターが起きたら」というシミュレーションを展開しています。蓋然性が高いということではなく、頭の体操の題材として、いまの国際情勢のなかでクーデターを置き直してみた試みです。そのシナリオは、中国共産党が認知戦・情報戦を仕掛けて、台湾での選挙で中国との平和的統一に賛同する政権が誕生する。その政権に対して、「台湾の自治」を主張してきた勢力とそれに同調する国軍が決起するというものです。
では、台湾で「政権の権力者を一撃で交代させる行為」はいかに可能なのか。クーデターを防ぐために、どのような仕掛けがなされているのか。クーデターに対する反撃への対処は。クーデター後の「民政移管」はどうなるのか。さらに、かつて国民党の一党独裁だった台湾で民主化を進めていった李登輝総統の手法との比較で見えてくるものとは。さらに「世直しクーデター」の可能性は――。そのような話題が次々に現われます。
刺激的なテーマから深掘りして考えることができるこの講義の見どころをお話ししました。ぜひ講義視聴のご参考にしていただければ幸いです。
この講義シリーズは第2話まで
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