産業イニシアティブでつくるプラチナ社会
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節目は2050年、持続可能な「プラチナ社会」で幸せをめざす
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題
政治と経済
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温暖化やエネルギー問題など、地球環境の持続可能性をめぐる議論はその緊急性が増している。そのような状況で日本はどのような社会を目指すべきなのか。モノの所有ではなく幸せを求める、持続可能な「プラチナ社会」の構想について、2050年問題をもとに解説する。(全5話中第1話)
時間:15分12秒
収録日:2025年4月21日
追加日:2025年10月22日
≪全文≫

●持続可能な「プラチナ社会」で幸せをめざす


 今回お話しさせていただくのは、プラチナ産業イニシアティブというものをつくって、産業を新しく立ち上げたいという大きな話です。

 それでどういう国になるかというと、1つは資源を自給する。それから人財が成長していく。もう1つが、住民が出資する。こういう国家ができるだろうということです。

 プラチナ社会をなぜ発想したかというと、若い頃に、今では当たり前の概念なのですが、地球は有限だ、成長の限界だという話が出たのです。地球は有限だから、経済成長にも限界があるのだということを言いました。当時は衝撃的でした。それから宇沢弘文さんという、ノーベル賞をもらっていないのがおかしいといわれるような経済学者ですけれど、彼も言っていたし、最近では斎藤幸平さんなどが、資本主義というものはもうダメなのだと言っています。

 なぜダメかというと、斎藤さんは、「コモン」という、空気とか、水とか、あるいは道路とか、教育システムとか――宇沢さんは前に「社会的共通資本」という言い方をしたのですけれど――そういうものがもたないのだ、資本主義の自由市場ではそういうものを維持することが非常に困難なのだということを言っていたわけです。

 ただ、「困難だ」と言うだけではしょうがないので、では共産主義をやればいいかというと、「いや、それはダメそうだ」ということが、20世紀にロシア(旧ソビエト)とか、中国とか、キューバとか、そういうところをわれわれは見て(分かって)いるわけで、共産主義に戻ればいいなんてとても思えないのです。そうすると、資本主義の中でどうするのだという話になってくるのです。

 それで、私はプラチナ社会というものを、ともかく「地球が持続して、豊かで、人の自己実現を可能にする社会」と定義しました。われわれの育ってきた時代は、モノがほしくて社会が成長していった時代です。私の母は薪で飯を炊いて、たらいで洗濯を本当にしていたわけです。そのときに電気洗濯機とか電気釜というものが出たのだけれど、それはもう給料さえ増えたら買いたいモノだったのです。そういう形で経済が成長していったわけです。

 それで、さらにそれが終わったのがだいたい「3C」というもの(を持った頃)です。クーラーを持って、カラーテレビを持って、最後は自動車(カー)です。今、日本ではだいたい2人に1台...

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