イスラム教におけるシーア派とスンニ派の違い
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
イスラム教スンニ派とシーア派の違いとは?
イスラム教におけるシーア派とスンニ派の違い
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
世界三大宗教の一つであるイスラム教は、シーア派、スンニ派の二派に大別されるが、その二派の最も特徴的な違いは何なのか? 何を発端としてその違いは生じたのか? イスラム地域研究の第一人者である山内昌之氏が解説する、イスラム世界を理解するための基礎講義。
時間:5分01秒
収録日:2014年5月22日
追加日:2014年6月12日
≪全文≫

●血筋にこだわったシーア派、ムハンマドの言行理解を重視したスンニ派


 今回はスンナ派、あるいはスンニ派とシーア派がどう違うのかというお尋ねに、なかなか難しいことではありますが、お答えしたいと思います。

 神の啓示をイスラムとして人々に伝えたムハンマドが死んだ後、ムハンマドは宗教と政治、あらゆる意味で共同体のリーダーでありましたから、この教団国家を誰がどのようにして支配するのかということで、スンナ派とシーア派の二派に分裂しました。

 ものの考え方としては、ムハンマドには直接の男の子はいませんでしたが、その娘のファーティマがムハンマドのいとこであるアリーという人物に嫁いで、この間に子どもが生まれました。それがハサン・イブン・アリーとフサイン・イブン・アリーという人ですが、この血の流れに沿って、ムハンマドの教えを指導していく人間が継承されていくべきである。すなわち、英語でも日本語でもカリフと言う、このカリフの地位、これがムハンマドのお家の人に継承されるべきだというように考えた人たちが、シーア派です。

 シーア派でなくてスンナ派、あるいはスンニ派というのは何かと言うと、スンナやスンニというのは、ムハンマドの言行という意味です。つまり、ムハンマドが伝えた神の啓示を、ムハンマドがどのように実践し、どのように解釈したかを正しく理解する人たちが、そのムハンマドの後をカリフとして継いでいくべきであり、そういう人たちは、スンナ、ムハンマドの言行によって正しく生きていく人々である、という考え方です。こうした考え方で、ムハンマドのお家の人ということにこだわらなかった人たち、これがスンニ派ということになるのです。


●イスラム帝国とともに拡大したスンニ派勢力


 このスンニ派の人たちは、4代にわたってカリフの位を選挙によって選びました。4代目になって、ようやく先ほど触れたアリーが選ばれたのですが、そのアリーが暗殺されてしまいます。そして、その後どうするかということで混乱が起きまして、イスラム世界は分裂しました。

 先ほどから申し上げているように、ムハンマドのお家の人を信奉する人たちがシーア派になり、イランや今のペルシャ湾のアラブ側の湾岸地域にかなり分布していきました。

 他の世界には圧倒的にスンニ派が増えました。なぜかと言うと、この4代目のカリフのアリーが死んだ後、イ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
ユダヤ神話の基本を知る
ユダヤ教の神話…天地創造、モーセの十戒、死後の世界
鎌田東二
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(9)「トランプ大統領」の視点・論点
【テンミニッツで考える】「トランプ大統領」をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(7)若者の引きこもりと日本の教育問題
日本の引きこもりの深い根源…「核家族」構造の問題とは?
與那覇潤
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
「同盟の真髄」と日米関係の行方(7)トランプ氏の評価とその実像
こりごり?アイ・ラブ・トランプ?…トランプ陣営の実状は
杉山晋輔
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
『貞観政要』を読む(2)著作に登場する人物たち
房玄齢・杜如晦・魏徴・王珪―太宗の四人の優れた側近
田口佳史
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(2)“変わり者”の生かし方と後継者選び
「人材の組み合わせ」こそ「尖った才能」を輝かせる必勝法
水野道訓
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己