石田梅岩の心学に学ぶ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
石田梅岩の心学にみる日本型「新しい資本主義」のヒント
石田梅岩の心学に学ぶ(9)正直、倹約、精勤のすすめ
田口佳史(東洋思想研究家)
徳川時代の社会のありようが近代日本の成功を導いたとするのが、R.N.ベラーによる『徳川時代の宗教』である。当時の諸制度に並ぶ大きな力として、石田梅岩の心学は特筆されている。「正直、倹約、精勤」の重要性を説く石田梅岩を学ぶことは企業経営成功への布石となり、ひいては日本型の「新しい資本主義」達成につながるのである。(全9話中第9話)
時間:15分39秒
収録日:2022年6月28日
追加日:2024年6月3日
≪全文≫

●「新しい資本主義」へのヒントを求めて


 そこで、R.N.ベラーの有名な『徳川時代の宗教』(池田昭翻訳、岩波文庫)という本があり、梅岩のことも詳細に記されています。ここでベラーが言っていることを知るために、冒頭で見た「石田梅岩の生涯」という年譜に戻っていただきましょう。

 梅岩の生涯に重ねて、アダム・スミスという人の足跡を記しています。1723年、梅岩が40歳ぐらいの時に、アダム・スミスが生まれます。それからずっと来て、梅岩が60歳で亡くなって15年ほどたった時に『道徳感情の理論』が出る。また、『国富論』はそれよりまだ大分先になります。

 (言い換えれば)スミスがそれらの論文を発表するより大分前に、宗教倫理というものが、日本の資本主義の根幹をなす人々の中で受け渡されてきたということです。父から子へ、師匠から弟子へ、親方から丁稚小僧へと受け渡すというのはすごいことで、これはそう簡単にはなくなりません。

 そういう伝統が興り、道元からいえば途中で喝を入れたというのが梅岩の役割ではなかったか、と私は見ています。梅岩がいろいろな形で主張したことを、これから考える「新しい資本主義」についても非常にたくさんのヒントを含んでいるという話を申し上げて、(この講義を)終わりたいと思います。


●企業経営成功の根源と松下幸之助の言葉


 まず、正直ということを挙げざるを得ない。正直というのは歴代の人々がみんな挙げたことですが、これを梅岩は全部受け入れて基本とし、企業経営成功の根源としました。

 企業経営が成功するための必須の条件として何があるかというと、二つなければならない。簡単にいえば、人々からの信頼というものがなければいけない。商売人として獲得するのは売上や利益ではなく、信頼・信用というものをまず得なければいけない。そのときに、正直という概念は非常に重要だといいます。

 もう一つ、梅岩が挙げていることとして、「天道(天の導くところ)によって」ということをずいぶん言っています。正直ということ自体が、徳という概念と非常に密接なもので、ときには同じような意味合いで使われていると私は思います。

 そこで思い出すのが、松下幸之助翁に問うたときの言葉です。私が「経営者の条件は何でしょうか」と訊いたとき、松下氏は言下に「運が強くなければ駄目だ」と言...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
メソポタミア神話の基本を知る(1)メソポタミア神話の神々と人間との関係
メソポタミア神話は、ギリシア神話はじめ世界の神話の原点
鎌田東二
徳川家康と貞観政要(1)徳川家康が太宗から学んだ治世の要諦
『貞観政要』とはいかなる書か?家康は何を学んだのか?
田口佳史
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
「禅とは何か」藤田一照師が禅と仏教の心を説く…自発性を重んじる
藤田一照

人気の講義ランキングTOP10
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
日本の財政の真実を検証する(2)なぜ財政危機は起きていないか
なぜ財政危機は起きていないのか…国債の金利のトリックを読み解く
宮本弘曉
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
石田梅岩の心学に学ぶ(6)禅から茶道へ
全てが悟りに至る道…日本は茶や花や野球にも「道」がある
田口佳史
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎