石田梅岩の心学に学ぶ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
石田梅岩が唱えた「商売の基本」、不足の共有化が鍵
石田梅岩の心学に学ぶ(4)商売の基本と梅岩教学
田口佳史(東洋思想研究家)
石田梅岩の大きなテーマである「商売の基本」はどこにあるか。それは「不足」についての認識を共有化することだと田口氏は言う。20年の探究が実を結び、石田梅岩が講席を開いたのは1729年。以後、講席は15年続くが、本人の講義は10年弱だった。短期間で梅岩の思想が広まったのは、本質的な商業活動の基本を掘り下げ、易しく伝えたからである。ただし、後年弟子によって流布される石門心学と彼自身の梅岩教学は別物と捉える必要がある。(全9話中第4話)
時間:9分41秒
収録日:2022年6月28日
追加日:2024年4月29日
≪全文≫

●商売の基本は「不足」の認識を共有化すること


 さらに、どこが商業の基本であるかということも説きました。あらかじめ申し上げておきますと、商業の最初というのは、こちらで足りているものがこれだけある。これをここに置いておいてももったいないから、足りないところへ持っていきましょう。したがって、足りすぎて余っているものを不足のところへ持っていく。

 「これを、この値段でどうでしょうか」と言うと、(相手は)足らないわけですから、「いやあ、ありがたい」と言って、買ってくださる。また、「この土地に余り物はありませんか」と訊くと、「こういうものが余っています」「それは、私のところでは非常に不足しているものです。それでは、これだけで買いましょう」と言う。

 このように、足りている部分から不足の部分へやりとりするのがビジネスの基本である。その心は何かというと、買うときに誰もが商品はいいと思っても、「いくらですか」と訊いて、具体的に値段を言われた瞬間に、「うーん、ちょっとどうしようかな」となる。これは、人間の心理として誰もが「いや、そうか。ちょっとどうしようかな」となって、よほどの人でないかぎりポンと出すということはないということです。

 したがって、まず「不足」についての認識を共有化するのが商売の基本です。

 「これが足りないというお話ですが、どうですか」と問うと、「いやあ、そうなのですよ。この地域はそういうものがとれなくて、とても不足していて困っています。この間も親がこういう状況になって、なんとかならないかと思ったら、それが手に入らなかったので、親をとても悲しい気持ちにさせてしまって…」などといった不足を共有化する。

 「そうですか。それでは、いいときに来たわけですね。今、私のところではそれがとてもたくさんとれるものですから、持ってきました」と言って、それを見せる。「これを、いくらで」と言うと、不足していることが解消される喜びが主になるから、それなりに喜んでくれる。つまり、買い手も喜ぶ、売り手も喜ぶ。

 買い手も喜ぶ、売り手も喜ぶという状況が全国に広がれば、要するに世間もとてもいい状況になる。なぜなら、経済活動が活発化するから。それを「売り手よし、買い手よし、世間よし」と。

 石田梅岩のいう、この大きなテーマはそういう意味です。人間は金を出すことにとても抵抗...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
「禅とは何か」藤田一照師が禅と仏教の心を説く…自発性を重んじる
藤田一照
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
インド神話の基本を知る(1)インドの特性と神話の成り立ち
インド神話…『リグ・ヴェーダ』『マハーバーラタ』の壮絶な物語
鎌田東二
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(34)『オデュッセイア』の秘密と愉しみ
【10min解説】大ヒット映画『オデュッセイア』がもっと楽しくなる神話講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(2)高齢者総合機能評価とフレイル
“マッチョな老衰”はいない!?若い頃からいかに骨格筋肉量を蓄えるかが健康長寿の鍵
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(5)東洋的リーダーシップ
『貞観政要』が人気…日本の経営幹部研修で好まれる理由
三谷宏治
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸