石田梅岩の心学に学ぶ
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失敗から学んだ石田梅岩、独学で教養を高めた少年期の体験
石田梅岩の心学に学ぶ(2)梅岩の教養を育んだ少年期の体験
田口佳史(東洋思想研究家)
江戸の町人の例に漏れず11歳で奉公に出た石田梅岩だが、奉公先の商家の事情から15歳で帰郷する。失敗ともいえるこの体験が梅岩思想に与えた影響は大きいと言う田口氏。郷里へ戻った梅岩が23歳で再び奉公するまでの記録は残っていないが、この期間が梅岩の教養を育んだのではないか。梅岩の一途な性質と郷里の風土は、勉学に励むのに最適の組み合わせだったのだろう。(全9話中第2話)
時間:11分01秒
収録日:2022年6月28日
追加日:2024年4月15日
≪全文≫

●失敗の体験~うまくいかなかった最初の丁稚奉公


 (石田梅岩の生涯年表の)中身をちょっと見ていただきますと、まず生まれて、11歳のところに「奉公に出る」とあります。奉公に出るのですが、実は出た先が非常にうまくいかない商家でした。

 普通「お仕着せ」というのは、盆暮に丁稚が自分の家に帰るときに雇い主が着せる晴れ着です。「これだけお宅の息子さんを大切にしていますから、ご安心ください」といえるものを着せ、ちょっとした土産物を持たせて帰らせる。そのため、丁稚のほうも鼻高々で、ちょっと大人になった気分で帰ります。

 (梅岩が)11歳で奉公に出て15歳で辞して家に帰るまでの4年間、少なくとも3回の盆暮れがあったはずですが、(彼は)出ていったときのままの薄汚れた着物で帰ってきました。これは親も不審に思い、「おまえ、どうしたのだ」、暗に「うまくいっていないのではないか」と訊いても、(息子は)「いや、そんなことはありません。ご心配ご無用で」と言って(奉公先へ)帰る。

 ある日、その家を斡旋してくれた父親の友人が訪ねてきて、「いやあ、申し訳ないことをしました。(奉公先の商家が)あんな家だとは知らなかった。(商売が)全然うまくいかないで、借金がどんどん重なって、まともに丁稚の面倒をみられないような状況です。即刻どこか違うところにご紹介したいと思う。どうかとりあえず1回家へ帰してください」。そのような非常に貧しい、うまくいかない商家が彼のスタートだったということです。

 キャリアを積むというのは、成功の体験もさることながら、失敗の体験が非常に重要です。そういう意味で、梅岩が一番最初に「商家はこうあってはいけない」という商家をつぶさに知ることができたのは、その後の梅岩教学からいっても、とても重要なことだと思います。まず、ここを挙げておきたいと思うわけです。


●頑固で融通が利かず、一直線な梅岩の性質


 梅岩の性格をあらかじめ申し上げておくと、子どもの頃からとても理屈っぽい男でした。だから、友達から嫌われた。俗にいう「嫌な奴」で、友達が何気なく言ったことに対しても、「それは、こういう点で理屈に合わない」などと議論を吹っかけてくるような「嫌な奴」だと、自分で言っています。

 嫌われ者だったので、「これはいかん」と思い、成人してからどんどん直し...

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