石田梅岩の心学に学ぶ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
有漏の善根では駄目…「商人日用」に学ぶ商売の心得
石田梅岩の心学に学ぶ(8)鈴木正三『万民徳用』を読む(下)
田口佳史(東洋思想研究家)
江戸初期の商人は利を求めるのに忙しく、信心と離れた存在だと自らを卑下していたようだ。鈴木正三は『万民徳用』の「商人日用」において、彼らに対し、利益を追求するには「身命を賭して、天道に抛(なげうっ)て、一筋に正直の道を学ぶ」べきだと説く。私欲を捨て、世の過不足を調整することで天の采配を代理することこそ商売の醍醐味だというのである。(全9話中第8話)
時間:16分15秒
収録日:2022年6月28日
追加日:2024年5月27日
≪全文≫

●「商人日用」で売買の心得を知る


 それでは次に「商人日用」(です)。

 「商人問云(とうていわく)、『たまたま人界に生を受くるといへども、つたなき賣買の業をなし』」、私は人の世界に生を受けた者、いわゆる人間ですが、なにしろ売り買いの業をやってきたので、「得利を思念(おもうねん)」、なんとか儲けなければいけないということを、休むときなく思っています。(これでは)「菩提にすすむ事かなわず」、仏の前に出て祈りを捧げるなどということはない。これこそ無念の至り。なんとかこういう人間が助かる方便はありませんでしょうか、と商人が言った。

 それに対して鈴木正三が、「賣買をせん人は、先得利の益(ます)べき心づかひを修行すべし」と(答える)。売買をする人は、まず得利(利益を得ること)をもっと追求するための心遣いをコントロールできるようにするのが基本ですよ、と言う。

 その心遣いというのは他のことではない。「身命」すなわち身体と命を「天道に抛(なげうっ)て、一筋に正直の道を学ぶ」べきである。売買だけで終わる人間ではなく、仏の領域まで入っていけるかいけないかは、得利(利を増やそう)の心をどう修行してコントロールできるかというところにあるからである。

 「心づかひと云は他の事」にない。そのときに持たなければいけない心は、身命を賭し、天道になげうって、自分が商売しているのも天に代わってやっているのだと思う心。「一筋に正直」の道が天道の道で、「正直の人には諸天のめぐみ」深く、「佛陀神明の加護有て、災難をのぞき、自然に福をまし、衆人愛敬、不淺して万事心にかなうべし」ということになる。

 正直一筋に、正直、正直という正直の人には「諸天のめぐみふかく、仏陀神明の加護」があるので災難は省かれ、自然に幸いというものが起こってくる。そうすると多くの人があなたのことを尊敬し、愛するようになる。万事そういうふうになるということを絶対に忘れてはいけません。


●私欲を捨て、天道に沿う商売を行う


 「私欲を専(もっぱら)として、自他を隔」て、つまり私欲というものをどんどん大きくして、もっと儲けよう儲けようとするのが「自他分離」です。相手あるいは他の人はどうでもいい。自分だけが儲ければいいと考え、他の人の苦労を思いやらず、自分さえよければいいというふ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二

人気の講義ランキングTOP10
インフレの行方…歴史から将来を予測する(2)明治以降の物価推移とインフレ率
戦後日本のハイパーインフレの真実…その時、何が起きたのか
養田功一郎
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
AI時代と人間の再定義(2)仏法僧の三宝と対話による道徳的進歩
考えるとは相手の頭を使って考えること…共同で思考する意義
中島隆博
こどもと学ぶ戦争と平和(2)「本当の平和」とは何か
「平和」には2つある…今の日本は本当に平和なのか?
小原雅博
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(4)社会課題の解決に取り組む人財産業
メダカの学校・総合的な学習(探究)の時間・逆参勤交代
小宮山宏
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
與那覇潤
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(2)機械学習と大規模言語モデル
常識を初めて知った!?生成AIの大規模言語モデルとは
岡野原大輔