石田梅岩の心学に学ぶ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「正直」の徳を最初に唱えた鈴木正三『万民徳用』とは
石田梅岩の心学に学ぶ(7)鈴木正三『万民徳用』を読む(上)
田口佳史(東洋思想研究家)
鈴木正三は、三河武士から出家して『盲安杖』や『万民徳用』を著した人物である。特に『万民徳用』では、「世法即佛(仏)法」を根拠に、士農工商それぞれの職分を全うすることが仏教修行に当たるとして、在家の教化に務めた。武士にあてた「武士日用」では、本邦で初めて「正直」の徳を旨とした記述が光る。(全9話中第7話)
時間:18分03秒
収録日:2022年6月28日
追加日:2024年5月20日
≪全文≫

●三河武士から42歳で出家に転じた鈴木正三


 今回は、(仏教から茶道や華道への流れ)がどのように思想哲学になってきたのかについてです。そこに登場するのが鈴木正三(しょうさん)という人物で、大分(時代的に)石田梅岩に近くなってきます。三河恩顧の武士で、家康の配下として全ての戦いに出向いたという猛将ですから、非常に力強い人です。

 鈴木正三も、いってみれば道元の流れに入る人で、42歳という遅い時期に出家して、道元禅師の教えを体得していきます。これまでは人を斬ってきたが、これからはそうではなく人を助けるほうへ回りたいというのが42歳で出家した動機でした。正三の弟も立派な人で、代官として務め、名代官として鈴木神社という神社ができるほどでした。

 この人がまだ出家する前に書いたのが『盲安杖』です。目が不自由な人を「盲」といいますが、(ここでは)目が開いていながら心が開いていない人間を指しています。そういう人が安心して世の中を歩ける杖のように、と鈴木正三が仏法の立場からの心の持ちようを説いて10項目にまとめたものです。

 (この作品は)鈴木正三哲学思想の最初をなすものですが、この『盲安杖』が何を説いているのかということで、十の重要なことをここに挙げておきました。人間としてこういう心を持てということを、とてもコンパクトにまとめて書いてあります。ただし、今日はここがポイントではなく、次の書物が非常に重要です。


●『万民徳用』から「武士日用」を読む


 これは『万民徳用』というもので、四民(士農工商)の全てに独自の注意すべきものがあるという観点から、武士は武士、それから農工商についても非常に綿密に要点を書いてくれています。まず、ここから「武士日用」を読んでみたいと思います。

 「武士問云(とうていわく)、『佛(仏)法世法、車の両輪のごとしといへり』」。

 ここで(説かれる)「佛法即世法、世法即佛法」ということばは、この後も江戸が終わるまで、ずっと常識になります。「世法」というのは世間の規範であり、大人として、あるいは常識としてやってはいけないこと(を弁えるの)が世法ですが、それは佛法からきているのだということで「佛法即世法、世法即佛法」といいます。

 これらは車の両輪であり、どちらが欠けて...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
「教養」と「リベラルアーツ」の違いとテンミニッツ・アカデミー
教養とリベラルアーツの違い…一般教養からWhy、Howへ
曽根泰教
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(2)開国の是非と将軍継嗣問題
「尊王攘夷か佐幕か」…天皇絶対主義に結びつく厄介な問題
山内昌之
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
資本主義の再定義…哲学で考える(6)「学ぶ」ことの本質と道徳の問題
「一人で悟るのは危険だ」…学ぶことの本質と日本の役割とは?
中島隆博
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
組織心理学~「妬み」との上手な付き合い方(1)いい妬み・悪い妬み
いい妬みと悪い妬みの2種類がある…「嫉妬」の本質に迫る
山浦一保
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(4)5人の皇帝と現代中国
特筆すべき5人の皇帝…中国史を知らなければ現代中国もわからない
宮脇淳子
「ホメロス叙事詩」を読むために(5)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留