石田梅岩の心学に学ぶ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
無料で開講した石田梅岩、師・小栗了雲から学んだ「無心」
石田梅岩の心学に学ぶ(3)神道布教の志と「無心」
哲学と生き方
田口佳史(東洋思想研究家)
石田梅岩は20代の頃、二度目となる奉公に出るとともに勉学にも力を入れていく。それを支えたのは、当時京都で隆盛だった吉田神道(唯一神道)をさらに普及させようという志だった。やがて8代将軍・徳川吉宗の世となり、40代を迎えた梅岩は碩学の師・小栗了雲のもとで独自の思想を樹立する。彼が講席を開くのは1729年、45歳の頃だった。(全9話中第3話)
時間:12分36秒
収録日:2022年6月28日
追加日:2024年4月22日
≪全文≫

●神道布教のため再度奉公に出た梅岩


 (石田梅岩は)23歳の時に、もう一度奉公に出ます。23歳で奉公に出るということは、もう丁稚小僧として出るのは不可能ですから、手代や番頭の見習いとして出ていくということです。

 現に23歳の梅岩は、黒柳家という大店(西陣の機屋〈はたや〉だったという説もあります)にいくわけですが、彼には神道の普及という目的もありました。神道の普及を志していたというのは、かなり自信があったということでしょう。

 当時の神道といえば、どういうものが浮かぶでしょう。特に(彼の実家は)京都に近いわけですから、京都といえばご承知の吉田神道。(その創始者である)吉田兼倶(かねとも)はとんでもない人物で、現代のわれわれには及びもつかないような、大きなスケールの人物でした。簡単にいってしまうと、自分の生まれ育った吉田家を神道の第一級のトップに据えてしまおうという野心と、相応の頭脳があいまった彼は生涯、「これでもか」「これでもか」というように、吉田神道の権威づけを徹底しました。最後には、全国の禰宜(神道の神主)に権限を与える役目を吉田神道が担うような大御所になってしまう。それほどすごい人物が室町の頃に出てきて、吉田神道をグッと持ち上げたわけです。

 これは「唯一神道」といって、伊勢神道などのいろいろな神道がある中で、「吉田神道こそ日本唯一の神道である」と公言してはばからないようなすごい人間でした。この吉田兼倶に対する研究も進んでいますので、機会を見てまたお話を申し上げたいと思います。

 ともあれ、彼のようなとても面白い人物が出てきたために、当時は吉田神道が非常に勢力を伸ばした時期でした。吉田神道には特有の「大祓(おおはらえ)」があります。神道は「災厄を祓う」(役目)を負っていったわけです。


●勉強に打ち込んだ梅岩と小栗了雲の出会い


 梅岩はそういう神道布教をしたかっただけに、しょっちゅう懐に書物を入れていました。早朝は早く起床して、月明かりの下で(書物を)見ているうちにだんだん月がなくなり、朝日に変わっていく。(月)明かりが変わるほどの早朝から勉強し、夜は全員が就寝後、一人月明かりでまた書物を読むということを繰り返すうちに、24~25歳から27歳頃にはノイローゼになってしまいます...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
「法華経はSFだ!」というナラティブの神秘的体験
鎌田東二
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(1)言葉の正しさとは
「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
養田功一郎
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために
百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために
門田隆将
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留