【入門】日本仏教の名僧・名著~聖徳太子編
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
聖徳太子が仏教を積極的に国づくりに生かした理由
【入門】日本仏教の名僧・名著~聖徳太子編(1)仏教受容の意味
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
日本への仏教伝来は538年といわれるが、その興隆に尽くしたのは聖徳太子である。現在、その実在が議論され、厩戸王か聖徳太子か教科書表記が問題になったのも、皇位にもつかなかった彼があまりにも偉大な業績を残しているからに他ならない。まずはその歴史的意義を確認しておこう。(全2話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分07秒
収録日:2020年8月20日
追加日:2020年11月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●蘇我氏との縁をもとに仏教受容で国家を振興した立役者


―― では、「日本仏教の名僧・名著」、お一方目は聖徳太子ということでございます。聖徳太子はもちろん皆さんご存じの方だと思いますが、どのような方と考えればよろしいですか。

賴住 そうですね、聖徳太子は父方も母方も蘇我氏につながるので、蘇我氏と大変に関係の深い方です。皆さんご存じのように、蘇我氏は日本に仏教を積極的に取り入れた古代の豪族です。ですから、聖徳太子も子どもの頃から仏教に親しんでいただろうと言われております。

―― 歴史の教科書で習うのは、蘇我氏が仏教の導入派で、物部氏や中臣氏が、どちらかというと排斥派だったというようなことですが、まさにその蘇我氏に近い皇族でいらっしゃったというイメージですね。

賴住 はい、そうなのです。お父さんは用明天皇という天皇でいらっしゃいましたが、太子自身は日本で初めての女帝といわれる推古天皇という方の摂政に就かれました。

 その地位で、皆さんがご存じの「十七条憲法」や「冠位十二階」の制定、また遣隋使の派遣など、さまざまな国家的な事業を推進されていったわけです。仏教を積極的に取り入れて国づくりに生かしていったことでも、大変よく知られている方です。

―― はい。本当に歴史の本などでも聖徳太子のことはよく出てきますが、最近では、「聖徳太子はいなかった」とか、いろいろな説が新たに出てきました。

賴住 そうですね。はい。

―― しかし歴史上、こういう方がいらっしゃったのは間違いないと思いますので、その前提で伺っていきます。


●プライベートな信仰だった仏教を国づくりに活用


―― 前回のシリーズ講義(「総論」)にもあったように、日本仏教史においてはまさにこの時期が、仏教を受容する時期ということになると思いますが、聖徳太子にはどういう意味があるのでしょうか。

賴住 仏教が最初に入ってきたときには、かなりプライベートな信仰という要素が大きかったと言われています。

―― プライベートとは、どういう意味ですか。

賴住 例えば自分の先祖が死後に幸福を得られるように、あるいは病気が治るようにと、そういう個人や家の願望を仏教に託すという意味で、プライベートな信仰だったといえると思います。しかし、聖徳太子の場合には積極的に国づくりに生かしていきました。そうやって仏教を生かしていったと...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二

人気の講義ランキングTOP10
変化する日本株式市場とPEファンド(1)近年急増するPE投資
プライベート・エクイティ・ファンドとは何か…その手法は?
百瀬裕規
新撰組と幕末日本の「真実」(3)「日野と多摩」の風土と天然理心流
田舎のヤンキー像は大違い…日野の豊かさと文武両道の気風
堀口茉純
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
こどもと学ぶ戦争と平和(6)平和な社会を守るために
チャーチルの名著『第二次世界大戦』に学ぶ真の平和への道
小原雅博
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために
百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために
門田隆将
印象派の誕生~8人の主要な芸術家
マネ、モネ、ルノワール…芸術家8人の関係と印象派の誕生
安井裕雄
「進化」への誤解…本当は何か?(7)進歩思想としての進化論と社会進化論
適者生存ではない…進化論とスペンサーの社会進化論は別物
長谷川眞理子